2024年12月5日、シェラトン都ホテル東京にて、「Webグランプリ」の贈賞式が行われました。今回で第12回となったWebグランプリ。このページでは「Web人部門」の贈賞の様子をお伝えいたします。
贈賞に先立ちまして、Webグランプリ Web人賞選考委員会を代表して、
シックス・アパート株式会社 平田 大治より、審査経過をご報告させていただきました。
いよいよWeb人部門の贈賞です。
今年のWeb人部門は、 Web人賞5名の受賞です。
Web人賞を受賞されたのは以下の方々です。
贈賞の際には、受賞者の皆さまからお言葉を頂戴いたしました。
フリー株式会社
伊原 力也 様
ただいまご紹介にあずかりました、フリー株式会社の伊原と申します。
普段はフリー株式会社という会計ソフトとか、人事労務ソフト、バック・オフィスソフトを作っている会社で、デザイナーをしております。その会社の中でも、アクセシビリティの普及啓発を行いつつ業界に対しても、書籍を出すなどの普及啓発をしております。改めましてこのような賞をいただき、大変うれしく思っております。今日も「この会場すごく眩しいから気をつけろ」みたいな、諸先輩方のWeb人賞を受賞された方から、アドバイスをいただくような形で、この場に立っております。やっぱりその先人の胸を借りて、ここに立てているのだなということを日々実感しております。また私はアクセシビリティの啓発は行ってはいるのですけれども、実際にそれを成果として出しているのは、同僚だとか、あとはアクセシビリティ業界というか、そういう界隈で常に切磋琢磨してくれている仲間たちがあってのことで、この受賞というのはアクセシビリティの分野がそういう方々によって、注目を集めつつあるということが、評価されたと私は感じております。アクセシビリティ賞は、今年、私は審査委員も実は務めさせていただいておりまして、取り組みはすごく増えているし、品質もすごく上がってきているなと実感しております。一方でまだまだアクセシビリティって言葉は、世間にはまだ知られてない分野かなと思っていまして、なかなか道半ばとも思っております。取り組もうとしても、ビジネスの中でその「投資対効果があるのか」とかですね、また障害当事者の方と一緒に活動するのも、なかなか難しかったりというような状況が現状かなと思っております。ただ、25年前ですかね、私がウェブの仕事に携わったときに、例えばユーザビリティっていうことは、すごく後回しにされていたのです。でも今ではユーザビリティを損なうサイトを作るなんて、もうそもそもそんなことしないというようなものであって、やはり、やり抜くことで当たり前というのは実現するのだというのが、先人から学んできたことであります。ですので、私もウェブがあったからこそ、生きてこられているし、たまたまこのような場にも立てていると思っておりますので、そういうウェブで仕事したり、発信したり、表現したりということを、すべての人にそれが実現できるような形に。ウェブはできると思っておりますので、今後もそういったことに邁進していきたいと思っております。本日はありがとうございました。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
平田 麻莉 様
ただいまご紹介にあずかりました、フリーランス協会の平田です。
私たちはフリーランスや副業で働く人たちのインフラ、そしてコミュニティとして、2017年に設立して以来、さまざまな活動を行ってきているのですけれども、その活動が実を結んだ成果の1つとして今年11月に施行されましたフリーランス新法、そのこともあって、今回ご選出いただいたのかなと思っております。今日、フリーランス協会を代表して私こちらにお招きいただいたのですが、この賞は、当協会を通じて社会に声を届けて、フリーランスの法整備、環境整備の原動力になってくださった当協会の会員の皆さま、フリーランスの皆さま、お一人お一人と一緒に受賞した賞かなと受け止めております。フリーランス協会を設立してから、現在に至るまで、私自身、何者でもない、ただの1フリーランスでして、当協会の事務局メンバーも全国に点在していますけれども、全員フリーランスの当事者で、フルリモートの、本当にボランティア組織として、活動をスタートしています。そんな私たちが、おかげさまで今会員が非常に増えて今月中に12万人を越す予定ですが、そんな形で草の根的な活動を広げてこられたのは、もうひとえにウェブサービスのおかげというかですね、何の後ろ盾も資本力もない中で、あらゆるウェブサービスを駆使して、多様なフリーランスの声を集め、フリーランス向けのサービスを開発したり提供したり、そしていろいろな啓発をしたり、実態調査をして政策をつくるということをやってきているので、本当にウェブサービスの恩恵を日々受けているなと感じております。これからも、「誰もが自立的なキャリアを築ける世の中へ」というビジョンに向けてウェブサービスを基軸にさまざまな活動を展開していきたいと思っております。今日は本当にありがとうございました。
国際大学
山口 真一 様
皆さんこんにちは。ただいまご紹介いただきました、国際大学の山口と申します。この度はこのような栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
関係者のすべての皆さまに感謝申し上げます。私は研究者で、経済学博士です。そして専門は、計量経済学というデータ分析手法の一種です。私はその手法を使ってSNS上のフェイクニュース、誹謗中傷、ネット炎上といった諸課題や、情報社会の新しいビジネスモデルなどについて、実証研究をしております。さて、私は研究者のミッションというものは、社会に接続した研究を行い、そしてその知見を社会に広めることで、人々が今よりも少しでも幸せになれる社会を築く。これに貢献することだと考えております。私はそのミッションを行うために、研究と実践の両輪というところを常に意識しています。学術研究や論文発表にとどまらず、そういった知見を、メディア、そして、書籍、さらに、政府の有識者会議などで、社会に還元する。そういったことで、少しでも貢献できるということを目指しております。今回はそのような研究と実践の両輪といったところが評価していただいたところかなと考えております。本賞は、奨励の意味もあると理解しております。今後も研究活動をさらに続けて、そして少しでも社会に貢献できるように努力してまいりますので、どうか今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
認定特定非営利活動法人キッズドア
渡辺 由美子 様
ご紹介いただきました、日本の子どもの貧困に取り組んでいる、認定NPO法人キッズドアの代表をしております、渡辺です。今回はこのような名誉ある賞をいただきまして、ありがとうございます。
キッズドアは、おかげさまで15年経ちました。15年前の2009年というのは、実は厚生労働省が初めて日本の子どもの貧困率というものを正式に出した年でございまして、裏を返せばそれまでは、日本の誰もが、日本に貧困な子どもがいるということを知らなかったという時代です。本当に日本の子どもは、1億総中流の家庭の中で、みんなしっかりご飯を食べて、良い教育を受けていると思ったのですが、リーマン・ショックとかいろいろなことがあって「おかしいぞ」と思って調べてみたら、日本の相対的貧困率という数値は非常に高くて、先進国の中でも子どもの貧困率がとても高いということで、そこからいろいろな支援が始まりました。私が始めた2009年というのを、日本の子どもの貧困を誰も知らなかったので、活動をちょっとでも知ってもらおうと思って「子どもの貧困やっている団体です」と言うと、「渡辺さんはどこの国をやっているのですか?」と、「アジアですか?アフリカですか?」と言われるような時代でした。それを考えると15年というのは、日本の子どもの貧困の実態を、いかに日本の方々に知っていただくかということの戦いだったなと思います。皆さんご承知の通りNPOというのはお金がございませんので、潤沢な広告宣伝費もない中で、本当に、インターネットの技術が進んで、ウェブができて、手軽にホームページが作れたり、SNSで無料で発信できたり、ということが大きな力になりました。もしこれがなければキッズドアの今のようなことはないですし、子どもの貧困をこちらに知っていただくということもないと思います。本当にウェブのおかげで、今があると思っています。あと、日本の子どもの貧困の今の状況ですが、コロナの後で、物価高騰がございまして、非常に厳しい状況です。年末になりますけれども、楽しいはずのクリスマスにサンタが来ないだけじゃなくって、ケーキもない、チキンもない、お菓子もないとかですね。年越しになってもそばが買えないとか、お餅が食べられないっていうお子さんたちがたくさんいらっしゃいます。実は今その子たちに、何とか食料品を送ろうということで、クラウドファンディングをやっておりますので、キッズドアのホームページを見ていただけますと、そのようなクラウドファンディングから、ご寄付ができます。よろしければぜひ、ご寄付いただければと思います。本当にこういう力を伸ばしてキッズドア、ますますこれからも頑張りたいと思いますので何卒よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
さくらインターネット株式会社
田中 邦裕 様
田中様はご都合により欠席のため、ビデオメッセージでお言葉を頂戴いたしました。
今回は、大変名誉ある賞にノミネートしていただき、ありがとうございます。私自身、28年前に、さくらインターネットを学生起業し、ホームページを作る人のために、ホームページサーバーの提供を開始しました。いつかは個人さんだけじゃなく、広く、エンタープライズやガバメントの皆さまに使っていただきたかったわけですが、昨年、条件付きながら、ガバメントクラウドへの認定もいただきました。常に挑戦し、そしてウェブをもっと広げるために、これからも活躍していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。今回はありがとうございました。
今年も、デジタルを活用して社会全体への貢献に寄与し、活躍された皆さまの受賞となりました。
そして最後に、デジタルマーケティング研究機構 副代表幹事 西田 健より、
閉会のご挨拶をさせていただきました。
本日はご多忙の中、Webグランプリ贈賞式にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。受賞された各社の皆さま、U35アワードそして、Web人賞の皆さま、本当におめでとうございます。
このWebグランプリは、企業のウェブサイト運営に携わる者が自ら参加して、お互いのサイトを審査し合うという、ウェブ関係者のウェブ関係者によるウェブ関係者のための賞ということを特徴としております。今年も数多くのサイトの関係者が相互に審査、そして評価を行ったことで、お互いの知見を高め、そしてレベルの向上につながったものと思っております。また、Web人賞に関してはウェブ、デジタルが幅広く活用される社会において、今年大きく活躍された方々に贈られる賞であり、世の中の常識や社会課題などを変えるような取り組みが表彰されました。今後、皆さまの一層のご活躍発展を祈念しております。以上をもちまして、日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構主催、第12回Webグランプリ贈賞式を閉会いたします。受賞された皆さま、本当におめでとうございました。
Web人部門の贈賞のレポートは以上となります。
受賞者の皆さま、おめでとうございます。ご参加いただき、誠にありがとうございました。
シックス・アパートの平田です。私から、本年度のWeb人部門の選考内容について、選考委員の一員として、審査経過をご報告いたします。
このWeb人賞というものは、人にフォーカスしている賞でございます。優れたウェブサイトやプロモーション、デジタルマーケティングといったような成果物そのものではなくて、その成果物を生み出してきたり、そのウェブ社会の発展そのものに貢献されたような方々にフォーカスした、極めて珍しい賞だと思っております。前身となるWebクリエーションアウォードから数えますと、今年で22回を迎える結構歴史の長い賞になっております。選考委員は、過去の受賞者のうち数名が務めており、私自身も2004年に受賞させていただいております。近年、ネットの普及がさらに進んでいくとともに産業や、経済、政治など、私たちの生活により深く関わる部分までウェブの影響というものが及ぶようになってまいりました。幅広い分野でウェブの重要性が増していく中、ウェブ社会、ウェブを通した社会の発展に貢献された5名の方に、今年はWeb人賞を贈ることになりました。伊原 力也さんは、ウェブアクセシビリティの分野で、国内の認知向上、普及に努めてこられました。現在はフリー株式会社に所属して活躍する傍ら、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトのアクセシビリティ改善などウェブアクセシビリティの推進活動も実施されております。また、加えて、関連書籍を出版されるなど、さまざまな活躍によりこの度の受賞となりました。田中 邦裕さんは、さくらインターネットの創業者であり長年、代表取締役を務めていらっしゃいます。同社は、大阪に拠点を置きつつも、石狩市に環境に配慮した、すぐれた大規模データセンターを開設するなど、東京一極集中ではない事業展開を推進されてきました。近年では、AIデータセンターの整備、ガバメントクラウドで日本企業唯一認定されるなど、海外企業が大きな存在感を示している日本のクラウド環境を向上させていくことに対して、日本企業として欠かせない存在になってきていると思います。また、業界の発展にも長年の貢献をされていることも併せて評価され、今回の受賞となりました。平田 麻莉さんは、誰もが自立的なキャリアを築ける世の中を実現するために、フリーランスや副業で働く人たちをサポートする協会を立ち上げられました。フリーランスで働く会員に対し、ウェブサービスを通じて、税務や法務、キャリアなどの情報や、安心安全に働くための福利厚生を提供されています。また、政策提言を行い、法律や制度の策定にも貢献されるなど、環境整備を行ってこられたことから今回の受賞となりました。山口 真一さんは研究者として、偽情報や誤情報、詐欺的な広告などについて、アカデミックの立場から研究をし、警鐘を鳴らしていらっしゃいます。また総務省のデジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会へのご参加など、さまざまな活動が評価されて、今回の受賞となりました。渡辺 由美子さんは、親の収入格差のせいで教育格差が生じてはならないとの思いから、経済的に困難な子どもたちが無理なく進学できるよう、日本のすべての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指し、子どもの貧困問題解決に向けて活動を広げてこられました。その活動の中で、広く全国からサブスクリプションを募ったり、クラウドファンディングを行ったり、また、サポートを受けたい家庭がウェブで申し込みができるようにするなど、ウェブを広く活用して告知と会員化を行ってこられたことなどの活動が評価されて今回の受賞となりました。本年も、デジタルマーケティングにとどまらず、幅広い領域で活動される方々への贈賞となりました。受賞された皆さまには御祝い申し上げるとともにさらなる活動、ますますのご活躍を期待しております。改めておめでとうございます。