虫ケア用品の商戦期は虫が活発に活動する夏場であり、冬場のコミュニケーションが課題だった。さらに広告表現にゴキブリをそのまま使うことができない制約も。需要が特に少ない年末年始は帰省シーズンでもあり、家族で虫ケア対策を考えるきっかけになる。このタイミングで話題をゼロから作り、虫が活発に動く夏場へ向けて、アース製薬オンラインサイトへの来訪を増やすための画期的な仕組みづくりが求められていた。

私たちは冬になるとゲームのプレイ時間が伸びるという消費行動に目をつけ、ゲームを開発した。まず、「あなたはゴキブリですか？」という奇抜なゴキブリ認証をサイトに出現させるという、ゴキブリ専用ページを制作。「はい」を選択するとユーザーは視点が低いゴキブリ目線になり、アース製薬の虫ケア用品が仕掛けられた部屋の中から３分以内に脱走する時間を競うというもの。ゴキブリのビジュアルを出せないことを逆手に取り、ゴキブリ目線の脱走ゲームとして設計した。どの商品もまるでFPS（一人称視点のシューティングゲーム）の銃のように、自分に迫り来るアイテムとして見せ、HPの減少もFPSのようなデザインに作り込み、そのクオリティの高さから人に伝えたくなる仕掛けを詰め込んだ。

人に伝えたくなるゴキブリ目線脱走ゲームとして、Twitterではトレンド入り。公式Twitterの投稿の総インプレッション数は840万、リツイート数は1.7万、いいね数は7.3万を超え、多くの話題を集めた。さらに、オンラインサイトのアクセス数は200万を超えて一時はアース製薬のサーバーがダウンするなど、虫が少ない冬場とは思えない盛り上がりを見せた。
肝心の脱走ゲームプレイ数は60万人。ここで特筆すべきは、ユーザーたちがTwitterを初めとするSNSで語り合った言葉の数々である。『ゴキジェットが強すぎる』『隙間に逃げても毒エサがあるぞ』『アースレッドで炊かれたら逃げ場がない』など、商品のUSP（UniqueSellingProposition）を楽しむツイートが4000件以上投稿された。ゴキブリ目線のゲームを作ることで、ユーザーがゴキブリ目線で商品のレビューをし合い、それが大きな話題を生むという、虫のいない冬に奇跡の循環を生み出した。

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https://youtu.be/3d8qcEXrfd4