2022年12月1日、東京、白金台の八芳園にて、「Webグランプリ」の贈賞式が行われました。
今回で第10回となったWebグランプリ。このページでは「Web人部門」の贈賞の様子をお伝えいたします。
贈賞に先立ち、Webグランプリ Web人賞選考委員会を代表して、noteプロデューサー/ブロガー 徳力 基彦 様より審査経過をご報告いただきました。
いよいよWeb人部門の贈賞です。
今年のWeb人部門は、 Web人賞4名、Web人大賞1名の受賞です。
Web人賞を受賞されたのは以下の方々です。
贈賞の際には、受賞者の皆様からお言葉を頂戴いたしました。
デジタル庁
浅沼 尚 様
浅沼 様は当日、ご都合により欠席でした。
※当日は事前に浅沼 様から頂戴したお言葉をデジタル庁 田中 様に代読いただきました。
この度は大変に光栄な賞をいただき心からお礼申し上げます。
まずはデジタル庁の活動を評価いただきました審査委員の皆様、そして関係者の皆様に感謝申し上げます。また、いただきました賞はデジタル庁全体の活動成果であるとともに、それを支えていただいている各省庁や地方自治体、また民間事業者や各種団体のご支援の成果であると思っております。デジタル庁職員、そしてデジタル庁の活動を支えていただいている皆様にも、この場を借りて感謝を申し上げます。デジタル庁が昨年9月に設置されてから約1年半が経とうとしておりますが、その中でこのような賞をいただけることは、今まさにデジタル庁のみならず、日本の公共分野におけるデジタルサービスが注目され、より良い公共サービスが提供されることを多くの方々が期待されているのだと思います。皆様の要望や期待に応えられるように、引き続き利用者視点による優しいデジタルサービスを推進し、着実に成果を積み上げていきたいと思っています。一方で、日本全体で優しいデジタルサービスを実現するためには、それを支えるデジタルインフラやデータの整備、デジタル化を進めるルール作りが必須であります。この点に関しましても、デジタル庁のミッションとしてしっかりと進めてまいります。来年、そして3年後、5年後もデジタル庁が頼りになる、必要であると思われる存在になるように、職員並びに関係者の皆様と協力して、デジタル社会の実現に貢献していきたいと思います。以上簡単ではございますが、お礼の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
株式会社インフォバーン
井登 友一 様
皆様、株式会社インフォバーンの井登と申します。この度は、まずこの栄えある賞を頂戴しまして、大変嬉しく思います。感謝申し上げます。
1991年にティム・バーナーズ=リーが初めてHTMLで書かれたウェブサイトを公開して30年経つわけですけれども、私は実は1991年に大学生になりまして、ウェブというのが非常に魅力的に感じました。ワクワクする、エキサイティングなものに感じました。社会人になるときにウェブの仕事がしたかったのですが、当時ウェブの仕事はなかったわけです。なんとかウェブの仕事がしたいと思って色々と工夫をしながら今に至っていて、ようやくウェブの仕事に携わることができ、非常に幸せに感じております。ティム・バーナーズ=リーのウェブサイトから30年経って、今や社会や人々にとってウェブサイトは当たり前のようになりました。ある意味そこに産業がついてきて、専門知識が体系化され、成熟してきたとも言えると思います。成熟するとある意味、固まってきますよね。ますますこれからウェブが社会や人々にとってワクワクするものであり続けるように日々精進していきたいと思います。先ほど徳力さんがおっしゃっていた通り、今回Web人賞を頂戴した背景には、これまでの功績というよりは、「これからあんたらもっと頑張りや」と叱咤激励の面、ご期待の方が強いと思います。微力ではありますが、ますますこれから業界、ウェブ社会に貢献できるようにウェブの世界で頑張りたいと思います。あらためましてありがとうございました。
Index Exchange Japan株式会社
香川 晴代 様
この度は、このような名誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございます。
Index Exchangeですが、カナダ発のアドテクノロジーの会社でして、私が現在の職務である日本事業の代表に着任したのがちょうど3年前になります。それ以来、媒体社様ですとか、同じ課題意識を共感くださる業界内のパートナー様と一緒に優良なコンテンツを生み出すメディア、特に国内のメディア事業者に、正当な評価、それから適正な広告費が投下されるということの大切さを伝えていく活動に力を入れてまいりました。今日はJAAの広告主の企業の皆様がたくさんお集まりになっていると思いますので、お伝えしたいことがあります。国産のメディアを守ろう、使おうという動きを日本でも高めていく必要があるのではないかと思っています。ご存知かどうかわかりませんが、ドイツですとかオーストラリア、それからカナダでは、国産品を買おうという考えのもと、広告主やエージェンシーから国産のメディアにきちんとその広告費が正当に投下されていくということが、仕組み化されています。一方で日本は、広告単価がアメリカに比べて40%、それからイギリスの半分ということで、とても課題感が大きくなっている昨今なのですね。今日はこのような素晴らしい賞をいただく場ではありますが、ぜひこのことを知っていただきたいと思ってお礼とともにお伝えしたいと思います。どうもありがとうございました。
株式会社Stroly
高橋 真知 様
こういった栄えある賞を受賞させていただき誠にありがとうございます。
私もウェブのオープンでイノベーティブなところがとても大好きで、そういったジャンルでこういった賞をいただくということが、とても嬉しく感じています。私達のサービスの名前は、Stroly(ストローリー)といいまして、ストーリーとストロールの掛け合わせの言葉になっています。物語を紡ぎながら歩くことができる、そういったサービスなのですけれども、具体的には、皆さんが発信していらっしゃるイラストマップやガイドマップ、それから、デザインされているようなマップですね、こういった手書きのものを含めて、様々なマップをデジタル化しまして、それをメディアとして活用していただけるというサービスをプラットフォームとして展開しています。私達のサービスですけれども、本当にこのマップというのが皆さんの推しだったり、地域のローカルの素晴らしい文化だったり、お祭りとか風物詩とか、それから、例えば「チーズで推したい」とか、「スイーツで推したい」みたいな、そういう強い思いのこもったマップになっています。こういったものの上に、私達は独自の技術でGPSを重ね合わせまして、実際に利用者の方がウェブブラウザで見ながら歩くことができ、またさらにマップの上にコンテンツを載せたり、マップ上で皆さんがコミュニケーションを取ることができるようなサービスを展開しています。最初私達が、このイラストマップとGPSを重ね合わせるウェブの技術を開発したときには、そんなものは誰が使うの?と、すごく笑われてしまいまして、使ってもらえるのかなと不安に思って起業したのですけれども、今は北海道から与論島まで様々なところで導入いただきまして、皆さんのウェブサイトの中だったり、SNS上でマップが活躍しています。また、国内だけではなくて、私達は海外の方にも展開していこうとしていまして、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)などの大型のカンファレンスですとか、そういったところで、周知を図っているところでございます。なかなかまだ知られているサービスではないので、今日を機に皆さんに知っていただきたいなと思っております。ウェブで大切なのは本当に多様性だったり、創造性というところかなと思っていまして、私達のマップがそういった創造性、多様性をもとに地域の方と人々を繋ぐということを進めることができたらいいなと考えて、これからも事業に邁進していきたいと思っております。本日は誠にありがとうございます。
そして、Web人大賞の贈賞です。
見事Web人大賞を受賞されたのは
キリンホールディングス株式会社
平山 高敏 様
平山様からお言葉を頂戴いたしました。
キリンホールディングスのコーポレートコミュニケーション部オウンドメディアチームに所属している平山と申します。
この度はこのような栄えある賞を、未だに私でいいか悩んでいるのですけれども、大賞ということでいただきまして誠にありがとうございます。先ほど、徳力さんから素晴らしいお言葉を頂戴しすぎてしまって、何を話そうか悩み始めているのですが、今私がやっているのはKIRIN公式noteであったり、KIRINto(キリント)というメディアをやっています。オウンドメディアチームとしては、ウェブサイトはもちろんですし、ソーシャルメディア、TwitterとかInstagramもやっておりますが、個人的なお話を少しさせていただくと、私は実はキリンに4年前に転職してきた人間です。その頃からウェブサイトに関わるような仕事をしていたのですが、当時感じていたのは、なんでこんな面白い人たちがキリンにいるのに伝えないのだろう。もったいない。このもったいないというのが、実は原動力でした。ビールの造り手であったりとか、CSV先進企業を担うために未来に向けた取り組みをしている従業員たち、そういった従業員たちの声がそのまま、私はその時はまだ一消費者のレベルだったので、すごく刺さったのですね。これを伝えていくということが実は今求められているし、我々の大事な資産になるのではないかと思ってKIRIN公式noteというのを細々と、2019年に始めました。そこから丸3年経ちまして、今日ここにもご列席というか、随行いただいた上司もいますが、なんだ、それ面白いじゃないかと背中を押してくれた社内の人間であったり、あとは熱い想いで私が手掛けるインタビューに答えてくれた従業員、そこからさらにそれを面白いと思って書いてくれたライターの方、綺麗に切り取ってくれるカメラマンの方、それを面白く切り取る編集者の方、様々な方がこういうメディアを作って、皆さんの目にとまって、きっと今日ここに立たせていただいているのだと思います。なので、この賞はその従業員であったり、そういった創り手の皆さんのものかなと思っています。誠にありがとうございます。もう少しだけお話させていただくと、オウンドメディアをそんな感じで3年ぐらいやっているのですが、面白いことがわかってきまして、社内からはオウンドメディアをインナーブランディングに使いたい、社員を鼓舞するコンテンツにしたいとか、ブランドのCMでは伝えられない奥のものを伝えたいとか、あとは採用に使える、キリンで働きたいというコンテンツになっている。オウンドメディアっていわゆるマーケティングだけのものではなくて、色々な役割が今求められているのかなと、そんなふうに感じています。一方で、まだまだオウンドメディアという言葉はオワコンと言われたり、オウンドメディアに携わる人間のスキルであったりとか、どういうことが求められているのか、まだまだ未成熟な気がします。今後、私は今回このような賞をいただきましたので、いかに企業においてこういう人材が必要かというところを説いていきたいですし、そういう人が育っていけば、きっと企業がもっと活発に面白くなっていくのではないかなと、そう信じております。今日ご列席いただいた方の中にも同じような想いの方がいれば、ぜひ一緒にオウンドメディア、企業のウェブサイトを盛り上げていただければと思っております。今日は誠にありがとうございました。
今年もウェブ社会全体への貢献に寄与し、活躍された皆様の受賞となりました。
そして最後に、デジタルマーケティング研究機構 副代表幹事 西田 健より、閉会のご挨拶をさせていただきました。
本日はお忙しい中、Webグランプリの贈賞式にお越しいただきまして誠にありがとうございます。受賞された皆様、本当におめでとうございます。
今回のWebグランプリでもデジタル社会の発展に貢献してきた「人」と「サイト」、これに対して表彰するために設立された賞というWebグランプリの趣旨にとてもふさわしい取り組みや人に対して表彰が行われました。大変おめでとうございます。今回、受賞・入賞された皆様、このWebグランプリに参加して得た知見を糧にして、今後の日々の業務に生かしていただければ幸いです。言うまでもなく、今までも、先ほどのご挨拶等々でもありましたけれども、コロナによって急激に世の中が変化した今、デジタルへの取り組みですとか、企業にとって不可欠なものになったと感じております。また、ウェブサイト、それからデジタルマーケティングに対する期待、これも一層大きくなりつつあると感じています。これからも我々、デジタルマーケティング研究機構はこれらデジタルへの取り組みをサポートしていきますので、引き続き皆さんのご支援のほどよろしくお願いいたします。これをもちまして、日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構主催、第10回Webグランプリ贈賞式を閉会いたします。本日はおめでとうございました。
Web人部門の贈賞のレポートは以上となります。
受賞者の皆様、おめでとうございます。ご参加いただき、誠にありがとうございました。
noteの徳力と申します。この度受賞者の皆様、本当におめでとうございます。
私の方からWeb人部門についての裏側の話をご紹介させていただければと思います。Web人部門は、Webグランプリの中でも少し変わった賞になります。タイトルの通り、人にフォーカスした賞になります。Webグランプリは今回10回という非常に記念すべき回を迎えていますけれども、実はWeb人賞は、前身となるWeb広告研究会の頃から数えて今回が20回目になるという非常に長く続いている賞でして、私自身も15年前に、光栄なことに賞を受け取ることができたのですけれども、そのときに審査委員の方々に言われた言葉が今でも記憶に残っております。ウェブという世界は、広告賞のように、わかりやすい広告クリエイティブというようなものが毎年生まれてくるようなものではないのだけれども、実は人が色々な活動をして、ウェブの世界を良くしよう、業界全体の盛り上げをしていこうという活動をしていて、なかなか各会社でそれが表彰されることはないのだと。なので、Web広告研究会、今のデジタルマーケティング研究機構としても、人をいかに表彰するかというところに特化した賞になっております。今回、私も審査に携わらせていただいて、実際に5人の方が選ばれる結果になったのですけれども、本当に20年経って、こういう方々が、こういう活動で表彰されるようになったのだなというのを個人的にもしみじみと振り返っております。長らく企業のサイトの支援をされてきたインフォバーンの井登さんであったり、デジタル広告の健全化に尽力されているIndex Exchange Japanの香川さんであったり、イラストの力を使って地域の活性化のような活動をされているStrolyの高橋さんであったり、さらにそこにデジタル庁の浅沼さん、行政の方が入るという、非常にこの20年におけるウェブ・デジタルの位置づけの変化というのを感じた賞になっていると思います。特に今回Web人大賞を受賞された平山さんは、私個人でも仕事でお世話になっていて、距離が近い立場でもあるのですけれども、オウンドメディアという一時期、ブームに終わったと言われがちだった分野において、私がnoteに入社する前にnoteを使ってオウンドメディアを始めるというのを2019年に始められて、当時、私は驚いたのですね。noteを使ってオウンドメディアで、企業と顧客の繋がりを緩く長く作っていくのだと。SDGsのようなキリンの取り組みを、プロモーションとは別の文脈でお客様に伝えていくのだとおっしゃっていて、私は正直、プロモーション側の方にいた人間でしたので、キリンさんもそういう地道なことをやるようになったのだと思ったのですが、大間違いでした。今回、コロナ禍になってZ世代も増えてきて、企業のパーパスやSDGsのような活動、いわゆる商品のプロモーションではないところのコミュニケーションが非常に重要になるこの3年間だったと思います。平山さんは、そういうキリンの活動を先行して取り組まれ、今では本当に多くのオウンドメディア担当者の方々が、キリンの活動を参考にするようにされていると思いますし、ある意味、ちょっと大げさかもしれませんが、この20年におけるこのウェブというところの位置づけの原点回帰のシンボルのような活動なのではないかなと思っております。Web人賞には、この1年間の活動を表彰するという文脈もありますが、実はこれからの受賞された方々のさらなる活躍を期待するという意味も込めた賞になります。そういう意味ではぜひ受賞された皆様には、お祝いをお伝えするとともに、これからのますますの活躍を期待して、講評とさせていただきたいと思います。本日は誠におめでとうございます。