企業BtoCサイト賞 優秀賞
人柄にじむ福島通販|シオクリビト
福島県商工会連合会
シオクリビトは、商品(モノ)よりも福島県の生産者の方々(ヒト)に注目して紹介する通信販売。生産者はシオクリビトとして愛情もって商品を選定し“仕送り”のような心持ちで直接購入者宛に発送します。便利さよりも売り手と買い手の長期的な関係づくりを支援するEC(Emotinal Commerce = 情緒的取引)サイトです。
背景として、新型コロナウイルス感染拡大により消費行動やライフスタイルが変化しています。EC販売が定着したが、小規模事業者・中小企業は人材やノウハウ不足に加え競合過多のため販売に繋がっている事業者は少ないです。また、人の移動が制限されたため観光関連需要の低迷が続いています。シオクリビトは、ページ読者と生産者の長期的な関係づくりを介して、地方への理解や関心度を高め、モノの販売だけでなく観光や移住需要の喚起による地域創生への寄与も目的としています。
デザインは、便利さを追求する従来のECサイトとは異なり、多少不便でも送る側と送られる側の心情が通いあうECサイトを実現することを目指しました。そのため生産者の人柄を伝えることを第一の目標とし、ページの構成は商品の前に、生産者の情報、エピソードを掲載。既存ECサイトやモールとの差別化を図りました。また、生産者の人柄に親近感を感じてもらえるよう、写真は全て使い捨てカメラを使用、WEBサイトのタイトルに本人の手書き文字を使うなど、デザイン上の工夫を凝らしたほか、エピソードには仕事、普段の暮らし、昔話や地域の話などを盛り込み、生産者の素の顔が浮かびあがる話を掲載しました。購入商品には生産者が考えたおまけがついてきたり、お礼状が添えられたり、本サイトでの購入体験は単に物を買ったというより、誰かから届いたという独特な体験を生み出しています。
他ECサイトと比べると、品揃えの多さや配達のスピード、購入履歴による商品のリコメンドなど合理性が追求されるEC市場の中で、シオクリビトは生産者個人の物語に焦点を当て“共感による応援消費”を促す通信販売です。即時的な欲求を喚起する従来型のマーケティングとは異なり、一見自分とは関係がなさそうな記事が続くのですが、何気なく見ているうちに生産者が他人事とは思えない“遠い親戚のような”気分を覚える。モノへの欲求ではなく、ヒトに対して”心が動く”、”心に残る”感情から購入を促す点に便利さを求める通信販売と違いがあります。事業者を焦点を当てたページのため、事業者も自分事と考え、商品を作って終わりではなく、自分が作った商品を知ってもらう・買ってもらうために積極的に情報発信へ協力、参加する点も相違点と言えます。