第9回Webグランプリ「Web人部門」贈賞式レポート

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2021年12月2日、東京、白金台の八芳園にて、「Webグランプリ」の贈賞式が行われました。今回で第9回となったWebグランプリ。このページでは「Web人部門」の贈賞の様子をお伝えいたします。

※贈賞につきましては新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、ステージ上でメダルの受け渡しは控えさせていただきました。

贈賞に先立ち、Webグランプリ Web人賞選考委員会を代表して、
株式会社インプレス Web担当者Forum・ネットショップ担当者フォーラム 編集統括 安田 英久様より審査経過をご報告いただきました。

皆様こんにちは。Web人部門の選考委員を務めております安田と申します。選考委員を代表しまして、御挨拶と選考についてのご報告をさせていただきます。

このWebグランプリのWeb人部門は、人にフォーカスした賞である点が特徴でございます。
Webサイトとかクリエイティブといった成果物に関しては、企業グランプリ部門に任せて、Web人賞ではそうした成果や業界全体の発展に対して関わっている本人、つまり人にフォーカスをして賞を贈らせていただくというユニークな賞でございます。

今回は前身となるWebクリエーション・アウォードから数えて19回目で、選考委員は過去の受賞者の中から数名が務めさせていただいております。今年も優れた功績を残した人はどのような方がいらっしゃるのか、どのような活躍をされた方に賞を贈るべきかについて、委員の間で非常に熱い議論が繰り返されました。その議論に基づいて選考委員から推薦を行わせていただきまして、その後、デジタルマーケティング研究機構の幹事会の選考で今回の受賞をされた方が決定いたしました。そういう流れでございます。

どのような方が受賞されるのかに関して、この20年ほどでどんどん変わってきています。Webやデジタルの世界が大きく変わってきて、それに合わせてWeb人賞を受賞される方も変わってきています。大きな流れとして、業界全体としては企業サイト単体から、ソーシャルとかアプリとかリアルとかを含めた全体的な取り組みやサービスへと変わっていっているという変化はありますけれども、それ以外でもここ数年で特に顕著になってきた重要な動きが2つあります。

1つは、組織全体としてとか多くの人が関わってという動きが増えていること。もう1つが、ビジネス成果だけではなくて、社会の一員としての倫理を重視したという動きが増えてきていることです。1つ目の組織全体としてとか、多くの人が携わってという動きは、要はWebとかデジタルが組織にとって重要なもの当然なものになって、事業に欠かせない基盤となっていることを表しているという意味では良いことでもあるのですね。

例えば、私の所属しているインプレスでも営業、マーケティング、技術、編集、制作、色々なチームが携わって調整しながら進めるプロジェクトというのが動いています。おそらく、各社様でそういった他部門、色々な人が関わる動きが増えているのではないかと思います。重要なものだから関係する部署が増えて外部パートナーも増えているという動きになっているのではないかと思います。

Web人部門は人を表彰するものであるのですけれども、既に業界が1人で何かを成し遂げるのが難しい状態になってきているというのはあります。とはいえ、何かを生み出すとかそれを大きくするといったときには、誰かが主要な役割を果たしているというのは事実です。ファーストペンギンとして飛び込んだり、旗を振って引っ張ったり。ですから、そういう人があまり表でこの人がこのプロジェクトを進めた人、ともてはやされることはないですが、Web人部門ではそうした人たちを引き続き表彰していきます。

もう1点の、社会の一員としての倫理を重視しましょうという動きは、これはもう止められないものですし、業界全体として重要なものだと捉えています。例えば、広告倫理ですとか、ステマをどうするかとか、ダークパターンをどうするかといったようなことですね。ビジネスなので成果を出していかなければ、継続的に事業を行えない、成果を出すのは当たり前なのですけれども、ちょっとWeb業界というのが天秤をビジネス成果の方に傾けすぎていたのではないかなという意識がしています。

社会を構成する一員として、例えば自分の家族にとか、自分の後の時代を生きる人たちに、我々はこういう仕事をしていたのですよというようなことを胸を張って包み隠さず言えるような、そんな仕事をしていきたいものですし、Web人部門ではそうしたことに取り組んでいる人を積極的に表彰してまいります。

各賞の講評に関しては、それぞれ行われますのでそちらを参照していただくとして、今年の受賞者の皆様は、そうした全体的な動きとか倫理観を含めてWebとかデジタルの可能性を広げてビジネスを進めて、より良い世の中にしていくことで、Webとかデジタルの健全な発展に寄与していった方です。受賞された方、そしてここにいらっしゃる皆様が今後もより健全なネット社会の牽引役となって、後進の道しるべとなることを選考委員一同期待しております。受賞者の皆様、あらためましておめでとうございます。

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いよいよWeb人部門の贈賞です。

Web人部門のプレゼンターは、デジタルマーケティング研究機構 代表幹事 中村俊之が務めました。

今年のWeb人部門は、Web人賞 6名の受賞です。
受賞されたのは以下の方々です。

Shamrock Records株式会社
青木 秀仁様

青木様はShamrock Recordsとして、2013年より「コミュニケーション支援・会話の見える化アプリ」UDトークを開発し、さまざまな領域に展開されてきました。UDトークは、発話をリアルタイムで文字起こしし、デジタルテキスト化することが可能であり、聴覚障害者のみならず、さまざまな人と人の境界を乗り越えるために用いられています。特に昨今のコロナ禍におけるオンラインコミュニケーションが重要となる状況においては、各種オンラインツールと連携し、オンライン配信イベントなどでのリアルタイムキャプションや翻訳などで幅広い人々とのコミュニケーションに貢献されています。これらの取り組みが評価され、今回の受賞となりました。

※当日の贈賞式ではUDトークを利用してリアルタイムに文字を起こし、会場スクリーンに字幕表示をいたしました。

日本放送協会
足立 義則様

足立様は、SNSから事件事故の一報やフェイク情報、トレンドなどをキャッチするSoLT(Social Listening Team)の立ち上げや、NHKのソーシャルメディアでの活動を通じて、一方通行ではない双方向のコミュニケーションモデルの構築に挑戦し、デジタル時代ならではの傾聴を活用した報道とコミュニケーションのありかたを示されたことが評価され、今回の受賞となりました。

BASE株式会社
鶴岡 裕太様

鶴岡様は、ネットショップ運営サービスBASEにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食店や小売店を早くから支援していました。2020年2月にはいち早くアパレルブランドの代替生産先の紹介を行い、その後もネットショップ開設や集客、資金調達や入金迅速化などの支援を打ち出していました。BASEは初めての人にも優しいシステムを基本無料で提供することで、ITやネットに詳しくない人々がネットショップを始めるハードルを下げました。人々が外出しづらい状況でも、ECによって事業を継続できるよう助けた点、他のECプラットフォームに先がけて支援を開始した点、そして日本各地でDX推進の端緒となった点が評価され、今回の受賞となりました。

popIn株式会社
西舘 亜希子様

西舘様は、popIn株式会社がインターネット上の誇大広告や差別的広告を、配信停止すると宣言する取り組みをリードし、日本でも社会問題化し始めていたネット広告の問題に一石を投じられました。特にネイティブアドの領域において停滞しているようにも見られていたネット広告の健全化の議論の再活性化がされたことが高く評価され、今回の受賞となりました。

READYFOR株式会社
米良 はるか様

米良様は、「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」をビジョンに掲げ、クラウドファンディングサービスを10年にわたり展開し、既存概念では解決できないさまざまな社会課題へ取り組まれています。
「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」や「令和3年8月豪雨災害 緊急災害支援基金」などの取り組み、また研究や医療の分野、アート・文化・芸術領域、ソーシャルセクターへの資金調達支援といった経済合理性だけでは資金や支援が届きにくい領域への支援など、デジタルを通じた社会活動が多くの人の行動に繋がり、広げていったことが高く評価され、今回の受賞となりました

一般財団法人 山田進太郎D&I財団
山田 進太郎様

株式会社メルカリ代表取締役 CEO である山田様は、一般財団法人を設立し、ジェンダー・人種・年齢・宗教などに関わらず、誰もが自身の能力を最大限に発揮できる社会の実現を目指しておられます。
その第一弾として、理系職種が男性に偏り、国内の女性エンジニア比率は、20%に留まるなどジェンダーバランスが崩れているという課題に注目し「高校入学時点で理系を目指す女性」100名に対して奨学金を支給するプログラムを開始されました。業界のみならず社会全体のジェンダーギャップの解消を実現するための希望ある取り組みが評価され、今回の受賞となりました。

※山田様は当日、ご都合により欠席でした

受賞者を代表して西舘様から、受賞のお言葉を頂戴いたしました。

Web人賞の皆様を代表させていただいて、ご挨拶させていただきます。実は11月末をもってpopInを退職しているので、もう所属ではないのですけれども、今回受賞いただけたということで、皆様ありがとうございます。そしてWebグランプリ、この場をご用意してくださった皆様、スタッフの皆様、本当にありがとうございます。

先ほどお話にもあったように、インターネットは使い方によっては良いことも悪いこともすごく浮き出てきてしまうものだと私は思っています。実際にこのコロナ禍で教育格差であったり、女性の貧困、男性の自殺も全く減っていかない状況であったりとか、見えるものと見えないもの、そういったものを浮き彫りにさせてつないでいくのがデジタルの役割なのではないかと思っています。

なかなか綺麗事というのは、お金にならないということを言われがちですが、綺麗事をみんなの力でお金にしていくというのがこれからの社会を作っていく責任であると思っているので、私はpopInを離れてしまったのですけれども、また違うどこかでそういったことに貢献していけるように頑張っていきたいと思います。受賞者の代表として挨拶させていただきました。本日はありがとうございました。

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今年もWeb社会全体への貢献に寄与し、活躍された皆様の受賞となりました。

そして最後に、デジタルマーケティング研究機構 副代表幹事 西田健より、閉会のご挨拶をさせていただきました。

本日はお忙しい中、Webグランプリ贈賞式においでいただき、誠にありがとうございます。また、受賞された皆様、本当におめでとうございます。

今回のWebグランプリでも、Web担当者によるWeb担当者のための賞という賞の趣旨に恥じない素晴らしいサイト、取り組み、そして、デジタルを活用した目覚ましい活躍をされた方々が数多くこの場で表彰されました。心からおめでとうございます。

一方で、企業のWebサイト、オウンドメディア、デジタルマーケティングを取り巻く環境はこの1、2年のコロナ惨禍による状況もあり、大きく劇的に変わっていると思います。デジタルを担当する人材不足、人材育成も急務の課題です。
そのような中、当デジタルマーケティング研究機構もWeb広告研究会から名称を変えて時代に適応する姿勢を明確にし、日々活動しています。このWebグランプリの取り組みと合わせて引き続き我々の活動にご支援いただければ幸いです。また、今回受賞された皆様、そして惜しくも受賞を逃がされた皆様、このWebグランプリに参加し、フィードバックで得られた知見を社内に積極的にアピールして日々の業務に生かしていただければ幸いです。

ただいまをもちまして、日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構、第9回Webグランプリ贈賞式を閉会いたします。本日は本当におめでとうございました。ありがとうございました。

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Web人部門の贈賞のレポートは以上となります。
受賞者の皆様、おめでとうございます。ご参加いただき、誠にありがとうございました。