Web人大賞
Web人大賞
宮坂 学 氏
東京都 副知事
受賞インタビュー
宮坂氏:
第8回WEB人大賞に選定頂き、感謝いたします。「新型コロナウイルス感染症対策サイト」をはじめ、市民の生活に直結する行政サービスをデジタル化し、デジタルシフトのうねりを生み出したことが評価されての受賞と聞き、大変嬉しく思います。
新型コロナウイルス感染症というこれまでにない危機だからこそ、これまでにないスタイルで分かりやすい情報を迅速に発信し、感染拡大防止につなげていく。この強い決意の下、特別チームを結成し約1週間で開設したのが「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」です。
サイトを構築する際、東京都として初めて「GitHub」にプログラムのソースコードを公開することで、誰でもサイトの修正を提案してもらえるようにしました。さらに、外部の方に再利用して頂けるようオープンデータとして公開しました。その結果、寄せられた改善提案は1000件を超え、公開したソースコードを活用した自治体は、公式のサイトを構築したものに限っても10府県市に及びます。
行政のデジタルサービスを行政だけで作るのではなく、市民と共に考え共に作り、絶えず改善を重ねていく。オープンデータの提供により、ゼロから作るより格段に速く、全国の自治体がサイトを構築し独自に進化させていく。デジタルテクノロジ-の力を解き放つことで、コロナ禍の危機に行政も市民も皆で一緒に立ち向かう、共助のDXと言えるようなうねりを巻き起こすことができたのではないかと考えています。
今回のWEB人大賞は、一緒にサイトを作ったCode for Japanの関さんと同時に受賞しています。関さんも意見を同じくするはずですが、この賞は、個人に対するものというよりも、都の職員、Code for Japanの皆様、改善提案をしてくれた世界中にいるエンジニアといった、コミュニティ全体に対する賞だと思います。
最後に、プロジェクトに参画してくれた全ての人に心からお礼を言いたいです。ありがとうございます。
Web人大賞
関 治之 氏
一般社団法人 コード・フォー・ジャパン
受賞インタビュー
インタビュアー:
安成 蓉子 氏 ( 株式会社翔泳社 )
安成氏:
株式会社 翔泳社メディア部門MarkeZine編集部 編集長の安成 蓉子と申します。
本日はよろしくお願いいたします。今日は見事、Web人大賞を受賞されました
一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事関 治之 様にお話をお伺います。
関様、この度は受賞、本当におめでとうございます。
本日はよろしくお願いいたします。今日は見事、Web人大賞を受賞されました
一般社団法人コード・フォー・ジャパン 代表理事関 治之 様にお話をお伺います。
関様、この度は受賞、本当におめでとうございます。
関氏:
ありがとうございます。
安成氏:
Code for Japan は新型コロナウイルスの脅威に見舞われた2020年、東京都公式の新型コロナウイルス感染症対策サイトを作成するなどまた、2011年に起きた東日本大震災の頃から市民と行政の新しい協働のかたちをテクノロジーやオープンデータを活用する事で社会課題の解決に尽力されてきた団体です。エンジニアやIT領域の方は Code for Japan の事をご存知だと思うのですが、Webマーケティング領域の方は、もしかするとご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、関さんから今一度 Code for Japan についてご説明いただけますでしょうか?
関氏:
Code for Japan は日本語で言うと「ともに考え、ともにつくる」という言葉を使っていますけれども、いろいろな地域の課題とか社会の課題というものに対して地域の人たちが自分たちで行政とかいろいろなプレイヤーと共に考えて、実際に一緒に何か考えるだけじゃなくて手を動かしながら課題を解決していくということをモットーにしています。そのために、いろいろな今の技術を使うことによって新たな、今までであったらできないようなコラボレーションができたりとか、新しいツールを作って、より社会の課題を解決したりとか、そういったようなコミュニティと我々は呼んでいますけれども、そういう人々のつながり、ネットワークを各地で推進している団体です。
安成氏:
Code for Japan の活動自体はもう何年も続いていると思うのですけれども、
2020年の現在はどのくらいの規模に大きくなっているのでしょうか?
2020年の現在はどのくらいの規模に大きくなっているのでしょうか?
関氏:
今現在、まず我々各地域にCode for ○○という地名のついたコミュニティがありまして
それは下部組織というわけでは全然ないのですけれども、すごく草の根で活動しています
そういった団体がまず全国で80か所あります。Code for Sabae とかですね、Code for Kanazawa とかいろいろあり、その他、Code for Japan 自身もSlack チャンネルというチャットでいろいろなコミュニケーションを日々やっているのですけれども、そこの会員は今、4,300人ぐらい参加しています。
それは下部組織というわけでは全然ないのですけれども、すごく草の根で活動しています
そういった団体がまず全国で80か所あります。Code for Sabae とかですね、Code for Kanazawa とかいろいろあり、その他、Code for Japan 自身もSlack チャンネルというチャットでいろいろなコミュニケーションを日々やっているのですけれども、そこの会員は今、4,300人ぐらい参加しています。
安成氏:
4,300人!すごい規模ですね。
それでは、今年多くの都民を新型コロナウイルスに対する不安を情報を提供することで解消してくれた新型コロナウイルス感染症対策サイトについてお伺いしていきたいと思います。実際にこのサイトを作っている間もコロナウイルスの脅威にCode for Japan の皆さん自身も晒されていたと思うのですが、本サイトの開発にあたって改めてどういったことを実現したかったのか、そういったコンセプトであったり、また制作にあたってどういった想いで作られていたのかというところを教えてください。
それでは、今年多くの都民を新型コロナウイルスに対する不安を情報を提供することで解消してくれた新型コロナウイルス感染症対策サイトについてお伺いしていきたいと思います。実際にこのサイトを作っている間もコロナウイルスの脅威にCode for Japan の皆さん自身も晒されていたと思うのですが、本サイトの開発にあたって改めてどういったことを実現したかったのか、そういったコンセプトであったり、また制作にあたってどういった想いで作られていたのかというところを教えてください。
関氏:
元々、Code for Japan 自身は自分たちでできることをとにかくやっていくということで、
コロナの状況が広がってきた時になにかデータを見せ、可視化するようなサイトを作れないかみたいな話も出ていました。そんななかで、東京都の宮坂副知事のほうから、今回のこういうサイトを作りたいというご相談を受けまして、他の会社さんとかも提案するなかで、我々も是非、提案しようということで提案させていただきました。その時のこういうことをやりたいというところに関しては、これはもちろん都からもやりたいということでお話があったことでもありますけれども、まずデータをわかりやすく見せたいということですね、
よく行政のサイトって想像するとこう、文字ばっかりで。
コロナの状況が広がってきた時になにかデータを見せ、可視化するようなサイトを作れないかみたいな話も出ていました。そんななかで、東京都の宮坂副知事のほうから、今回のこういうサイトを作りたいというご相談を受けまして、他の会社さんとかも提案するなかで、我々も是非、提案しようということで提案させていただきました。その時のこういうことをやりたいというところに関しては、これはもちろん都からもやりたいということでお話があったことでもありますけれども、まずデータをわかりやすく見せたいということですね、
よく行政のサイトって想像するとこう、文字ばっかりで。
安成氏:
文字が多くて、なかなか可視性がよろしくない感じがありますね。
関氏:
ですよね。表とかPDFとかいちいちクリックして見にいかなきゃいけないみたいな、そういったことがあったと思うのですけれど、そうじゃなくてまず、最初に見たい情報がすぐ見れる、あとは多言語化だとかやさしい日本語というのもありましたけれど、より多くの人にちゃんと届くというところ、そこをまずやりたいということを提案いたしました。
さらにですね。せっかく、我々みたいな市民コミュニティが参加するわけですから、誰でも参加できたり、アイデアを言ったり参加できたりとか、そういったようなサイトのかたちにしたいということでご提案さしあげました。
さらにですね。せっかく、我々みたいな市民コミュニティが参加するわけですから、誰でも参加できたり、アイデアを言ったり参加できたりとか、そういったようなサイトのかたちにしたいということでご提案さしあげました。
安成氏:
実際にサイトを作るのって本当にすごいたくさんの方々の協力がいると思うのですけれども、実際にCode for Japanでこのサイトを作るとなった時に、Code for Japan の皆さん、すごい積極的に制作に参加してくれたのでしょうか?
関氏:
そうですね。Code for Japan だけではなくて本当に今まで Code for Japan というものを知らなかった、シビックテックとか聞いたことなかったという人も含めて非常にたくさん参加いただきました。300人ぐらいがトータルで実際なにかしら具体的な協力をしていただいたというかたちになりますね。
安成氏:
私もこのサイトはよく拝見しているので、サイトを作る時のこだわりポイントみたいなのもちょっとお聞きしていきたいなと思っています。というのもやっぱり都のサイトということで、それこそ年齢層も例えば、小学生の方から高齢者の方まですごい幅広い年代の方がアクセスするサイトですし、いっぽうで、ITリテラシーも様々な方がアクセスしてくるサイトになると思います。
そういったターゲット層というのが、なかなか設定しにくいなかで、誰もにとって見やすいサイトを作るために、どういったところを工夫されたのでしょうか?
そういったターゲット層というのが、なかなか設定しにくいなかで、誰もにとって見やすいサイトを作るために、どういったところを工夫されたのでしょうか?
関氏:
そこは本当に悩んだポイントですし、開発にあたっても難しかったところですね。まずはやっぱりグラフであれば割とわかりやすいのでグラフを中心に見せるっていうことが、割と最初の方に決まりました。色とかもあまりごちゃごちゃ使わずにやろうということですね。
あとはもちろん多言語化とやさしい日本語というものを作ったというところと、結構これは本当に裏側でかなりいろいろなストーリーがあるのですけれども、アクセシビリティへの配慮っていうのがありまして元々、最初立ち上げる時にNo one left behind というのが我々が作った行動規範の中に入っていたのですね。それなので、じゃあ、視覚障害者の方とかにもちゃんと見えるようにしようといった時に、スクリーンリーダー、文字を読み上げブラウザとか、そういったところからでもちゃんと見えるように読めるようにグラフとは別にちゃんと表でも数字が見れるようになっているのですね。そういったこととか、色弱の方でも見えやすいような色使いとかですね、ここに関してはデザインとの兼ね合いで、コントラストをずらすと見やすくなるわけですけれども、あんまりずらし過ぎるとデザイン上よくないみたいなそういうところの葛藤で、本当にたくさんの議論が行われて最終的に今のに決まったりしていますね。
あとはもちろん多言語化とやさしい日本語というものを作ったというところと、結構これは本当に裏側でかなりいろいろなストーリーがあるのですけれども、アクセシビリティへの配慮っていうのがありまして元々、最初立ち上げる時にNo one left behind というのが我々が作った行動規範の中に入っていたのですね。それなので、じゃあ、視覚障害者の方とかにもちゃんと見えるようにしようといった時に、スクリーンリーダー、文字を読み上げブラウザとか、そういったところからでもちゃんと見えるように読めるようにグラフとは別にちゃんと表でも数字が見れるようになっているのですね。そういったこととか、色弱の方でも見えやすいような色使いとかですね、ここに関してはデザインとの兼ね合いで、コントラストをずらすと見やすくなるわけですけれども、あんまりずらし過ぎるとデザイン上よくないみたいなそういうところの葛藤で、本当にたくさんの議論が行われて最終的に今のに決まったりしていますね。
安成氏:
なるほど。ただ見ているだけだとなかなか気づかなかったのですが、そういったことも含めて、議論してくださっているということでやっぱり都のサイトなので都民の方とか本当にいろいろな方がいるので、自分たちのために作っていただいたサイトなのだなというのは実感できました。
あとはですね。Webサイトというのは制作の間はもちろんすごく大変だと思うのですが、
公開したあとに、実際にどのようにユーザーさんが使ってくれるのか、使われ続けていくのかという視点がすごく大事だと思います。ですので、公開後の運用の視点でなにか工夫されていることってあったりされるのでしょうか?
あとはですね。Webサイトというのは制作の間はもちろんすごく大変だと思うのですが、
公開したあとに、実際にどのようにユーザーさんが使ってくれるのか、使われ続けていくのかという視点がすごく大事だと思います。ですので、公開後の運用の視点でなにか工夫されていることってあったりされるのでしょうか?
関氏:
まず、これは当たり前ですけれども、普通のWeb運営だとGoogle Analyticsとかを入れてちゃんとどれぐらい見られているかみたいなことを把握するようにしています。実は行政のサイトってそういうこともやってないところが結構多かったりするのですけれども。
安成氏:
入ってなさそうなイメージはありました。
でもあのサイトにはちゃんと入っているのですね。
でもあのサイトにはちゃんと入っているのですね。
関氏:
はい、ちゃんと入っています。もちろんそういったところと、あとはやっぱり Twitter とかで本当にご意見をたくさんいただきましたので、そういったところをちゃんと取り入れていくことで本当にいろいろな人からアイデアいただけますから、それをこう優先順位を付けてやっていくだけで、結構広がっていったというのがあります。
あと大きかったのは、都知事の会見のバックパネルに常にあるのですね、なので
わざわざ広告費をかけなくてもこういうサイトがあるんだというのが伝わったというのは、そういう意味ではプロモーション費用みたいなのはあまりかけなくてもよかったのは、さすが都のサイトだなと思いました。当然皆さん注目しているサイトでしたので。
あと大きかったのは、都知事の会見のバックパネルに常にあるのですね、なので
わざわざ広告費をかけなくてもこういうサイトがあるんだというのが伝わったというのは、そういう意味ではプロモーション費用みたいなのはあまりかけなくてもよかったのは、さすが都のサイトだなと思いました。当然皆さん注目しているサイトでしたので。
安成氏:
実際にユーザーの方からいただいた声でサイト公開後にアップデートした点って、
具体的にはどんなところがあるのでしょうか?
具体的にはどんなところがあるのでしょうか?
関氏:
やっぱり私の中で印象に残っているのは、その一つのアクセシビリティのやつですね。
一回、私、「忙しいのでちょっとこれ、あとでにさせてください。」ってちょっと乱暴なかたちで、'Issue' って言うのですけれど、クローズしたら、やっぱりそれはよくないのではないかということになって、もう一回オープンしなおして「すみません、もう一回議論させてください。」みたいな感じで本当にたくさん議論を重ねたので、感慨深いものがあります。
あとはですね、これは面白かったのは公開したちょっとあとに、これすごくいいですねって話題になったのですけれども、グラフに対して、グラフを一つ一つシェアできる機能があった方がより広がるというご意見をいただきました。
一回、私、「忙しいのでちょっとこれ、あとでにさせてください。」ってちょっと乱暴なかたちで、'Issue' って言うのですけれど、クローズしたら、やっぱりそれはよくないのではないかということになって、もう一回オープンしなおして「すみません、もう一回議論させてください。」みたいな感じで本当にたくさん議論を重ねたので、感慨深いものがあります。
あとはですね、これは面白かったのは公開したちょっとあとに、これすごくいいですねって話題になったのですけれども、グラフに対して、グラフを一つ一つシェアできる機能があった方がより広がるというご意見をいただきました。
安成氏:
Twitterとかだとグラフごとにちょっとコメントつけて拡散したいですね。
関氏:
そうですね。なので、そこらへんも開発は結構大変だったのですけれども、それをやったところやっぱり予想通りグラフをそのままシェアして、それからそこ経由で流入するみたいなことがすごく増えたというのがありましたね。
安成氏:
確かに、でもやっぱり作ったあとにより使われやすいサイトにするための努力というのが、
すごくしていただいているのだなというのがわかるストーリーでした。
実際にサイトを公開して運用されてみて、予想よりもすごく使われているなとかもっとこういう風に使ってほしいのになとか、関さん側でなにかしらの想いってお持ちだったりされるのでしょうか?
すごくしていただいているのだなというのがわかるストーリーでした。
実際にサイトを公開して運用されてみて、予想よりもすごく使われているなとかもっとこういう風に使ってほしいのになとか、関さん側でなにかしらの想いってお持ちだったりされるのでしょうか?
関氏:
まず、早くこのサイトの存在意義がなくなってほしいというのがまず一番ですよね。
安成氏:
そうですね。今、第三波の脅威も訪れております。
関氏:
はい。ということで、たぶん確認したらまたアクセス数が上がってきているのではないかなと思っているのですけれども。結構印象深かったのは、もちろんグラフそのものはすっきりしていてすごく見やすかったので話題になったのですけれども、それ以外にも初期の頃、チャートみたいなのがあったのですね。熱があった場合は、まず過去に渡航した履歴がありますか?とかによって近くのクリニックに行ってくださいとか、保健所に相談してくださいとか、自宅にいてくださいとか、そういったようなフローチャートがあったのですが、
それもまたすごく見にくかったのをちゃんとWebベースで全部書き直してですね、さらにスマホでも見えるようにSVG対応と言うのですけれども、その動的に見える対応みたいなのをして、それがやっぱり苦労、僕が苦労したのではなくて、開発した人が苦労したのですけれども、それがやっぱり実際すごく評判がよかったというのは嬉しかったですね。
それもまたすごく見にくかったのをちゃんとWebベースで全部書き直してですね、さらにスマホでも見えるようにSVG対応と言うのですけれども、その動的に見える対応みたいなのをして、それがやっぱり苦労、僕が苦労したのではなくて、開発した人が苦労したのですけれども、それがやっぱり実際すごく評判がよかったというのは嬉しかったですね。
安成氏:
なるほど。やっぱりあのサイトを見てる人って本当にそれぞれの不安をお持ちでそれを解消するために、目的を持って訪れていると思うのです。なので、その人たちに向けてすごくいい機能を作れて、それが数値上でも使われていると実感できるのはすごい開発の方にも本当にありがたいことだなと思っております。あと、この新型コロナウイルス対策感染症サイトは、私たちのユーザー向けだけではなくて、ソースコードを公開して、他の自治体さんへもこういった取り組みが広まっていくようなきっかけになっているというのも今回の受賞の理由の一つなのかなと思っております。シビックテックだったり、オープンデータの取り組みっていうのは数年前から日本でも起こっていましたが、諸外国に比べると日本が進んでいるとちょっと言えない状況だったかなとは思います。ただ、この2020年を機に、こういったわかりやすいというか、オープンデータを活用したり、シビックテックで行政と市民が手を取り合って、役立つものを作って皆の課題を解決していくという結構わかりやすい成功事例かと思います、このサイト。ですので、このサイトができて実際に使われていることで日本のシビックテックだったり、オープンデータを取り巻く状況っていうのは、どのように変わっていくと関さんはお考えでしょうか?
関氏:
私たちというか、私はずっと行政のサイトはオープンソース、特に自治体の作るものというのはオープンソースで共有した方がいいだろうって話をずっとしていたのですね。全国、1,740ぐらいある自治体がそれぞれスクラッチで作っているので。
安成氏:
無駄な税金も発生しそうですね
関氏:
はい。それは無駄なので、やっぱりオープンに共有した方がいろいろな知恵も集まるし、
たぶんビジネスももっと花開くと思っていて、そういった一例を見せられたというのは非常にやってよかったなというふうに思いますし今、デジタル庁と新しく行政のDXと言われるデジタルトランスフォーメーションが進んでいくなかで、データが大切だねとか、そういうことがかなり出てきました。オープンデータもそういう意味では次のフェーズで単純に行政が出してそれを企業が使って新しいサービスが生まれるということ以上の社会のあり方を示すリソースとして、市民側も積極的に使っていったりとか、地域でそれを使って新しいことを発見したりとか、そういう社会へ参加するための一つの情報として、これから発展していくと嬉しいなと思っています。
たぶんビジネスももっと花開くと思っていて、そういった一例を見せられたというのは非常にやってよかったなというふうに思いますし今、デジタル庁と新しく行政のDXと言われるデジタルトランスフォーメーションが進んでいくなかで、データが大切だねとか、そういうことがかなり出てきました。オープンデータもそういう意味では次のフェーズで単純に行政が出してそれを企業が使って新しいサービスが生まれるということ以上の社会のあり方を示すリソースとして、市民側も積極的に使っていったりとか、地域でそれを使って新しいことを発見したりとか、そういう社会へ参加するための一つの情報として、これから発展していくと嬉しいなと思っています。
安成氏:
はい。ありがとうございます。Code For Japanの皆さんからは、
今回のweb人大賞の受賞はどのような反響があったのでしょうか?
今回のweb人大賞の受賞はどのような反響があったのでしょうか?
関氏:
すごい喜んでいます。もちろんこれ、私がというよりも、コミュニティに対しての賞だと思いますし、あとはその裏側でデータを作った東京都の皆さんも大変だったと思っていて、そういうチーム全体、コミュニティ全体に対する賞だというふうに私は感じていますし、チームの皆もそういう意味で本当に喜んでいるのではないかなと思います。
安成氏:
はい。ありがとうございます。すごい私もCode for Japan の方々、エンジニアの方々がすごい多いコミュニティなのかなというふうに思っていたんですが、やっぱりサイトだったり、プロダクトを作ったあとに広めていく、コミュニケーションして世の中により使われるように広めていくためには、アドバタイザーズ協会さんのWebマーケティングの知見を持っている人たちとの、こう、一緒に手を取り合ってやっていくと、より良い取り組みが世の中に広がっていくんじゃないかと思いました。ですので、今回の受賞を機に、また Code for Japanのメンバーが広がっていくといいなと思っております。本日はありがとうございました。
関氏:
ありがとうございました。
Web人賞
Web人賞
秋元 里奈 氏
株式会社ビビッドガーデン
受賞インタビュー
インタビュアー:
長田 真 氏 ( 株式会社メディアジーン )
長田氏:
株式会社メディアジーン DIGIDAY[日本版]編集長の長田 真です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
秋元氏:
よろしくお願いします。
長田氏:
本日はWeb人賞を受賞されました
株式会社ビビッドガーデン 代表取締役社長 秋元里奈さんにお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします。
株式会社ビビッドガーデン 代表取締役社長 秋元里奈さんにお話を伺いたいと思います。
よろしくお願いいたします。
秋元氏:
お願いします。
長田氏:
まずは率直にこの賞を受賞されてどのような感想をお持ちになりましたか?
秋元氏:
まさかいただけるとは、という驚きと選んでいただいて率直にすごく光栄で嬉しく思っております。
長田氏:
今、すごくいろいろところに露出されていて、大変忙しそうだなという、注目度が上がっているのでしょうね。
秋元氏:
そうですね。結構お客さんも増えたこともあって、いろいろな方に利用いただいたりしています。
長田氏:
なるほど。今回、受賞となった理由が二つありまして、これまでの流通構造では評価されにくかった小規模農業従事者が、持続可能なビジネスとして成立できるようテクノロジーの活用によりサポートしてきたことが一つと、あと新型コロナウイルス感染拡大による影響を受ける生産者へのサポートを行い続けていることが大きく評価されたというふうに聞いております。
まず一つ目のところで、食べチョクのサービス自体が、今までの農業流通をある意味、
ディスラプトするような仕組みとなったということですが、それについてはいろいろなところで語られていると思うのですけれども、改めてお聞きしてもいいでしょうか?
まず一つ目のところで、食べチョクのサービス自体が、今までの農業流通をある意味、
ディスラプトするような仕組みとなったということですが、それについてはいろいろなところで語られていると思うのですけれども、改めてお聞きしてもいいでしょうか?
秋元氏:
最初に食べチョクを簡単に説明すると、食べチョクは全国の生産者さん、農家さんとか漁師さんから直接食材を取り寄せられる、消費者からするとオンラインの直売所のようなサービスです。もちろん既存流通もすごい素晴らしいですし、生産者さんからすると既存流通って一括して出荷できるので手間はかからないというメリットはもちろんあるのですが、
いっぽうで、こだわって作っている物が高く売れるかというとそうではなくて全部、規格によって値段が決まってしまうので、同じ形であれば味が違っても価格は一緒というのがありました。
私の実家も元々小規模の農家だったので、そういう付加価値のある食材が評価される世界にしたいなと思って、新しい選択肢として生産者さんがご自身で価格を決めて直接、消費者の方に届けることができるサービスとして食べチョクをスタートしました。今年1年で本当にすごい勢いで広まって、なかなか産直って難しいと言われていた領域ではあったのですけれども、いろいろな方々に使っていただけるようになってとても嬉しく思っています。
いっぽうで、こだわって作っている物が高く売れるかというとそうではなくて全部、規格によって値段が決まってしまうので、同じ形であれば味が違っても価格は一緒というのがありました。
私の実家も元々小規模の農家だったので、そういう付加価値のある食材が評価される世界にしたいなと思って、新しい選択肢として生産者さんがご自身で価格を決めて直接、消費者の方に届けることができるサービスとして食べチョクをスタートしました。今年1年で本当にすごい勢いで広まって、なかなか産直って難しいと言われていた領域ではあったのですけれども、いろいろな方々に使っていただけるようになってとても嬉しく思っています。
長田氏:
特に去年あたりからD to C という言葉がマーケティング業界ではすごくトレンドになっていましたけれども、食べチョクさんはそれの農業版なのかなというふうに感じたのですが、そのへんって意識とかされていました?たまたまそうだったってことなのでしょうか?
秋元氏:
たまたまそうだったというのが正解なのですけれども、私たちの場合は、まさに生産者さんが D to C で売るのをサポートしているプラットフォームなので、D to C プラットフォームというのは結構正しいかなとは思っていますが元々、D to C やりたいと思ってそのワードからスタートしたわけではなかったのです。去年あたりからD to C というワードであったりとか、直接、作り手から届くみたいなところは注目がされつつある分野ではあったので、そこも大きく業界を変えていく一つになったかなとは思っています。
長田氏:
なるほど。もう結構やられていますよね。4年ですか?
秋元氏:
創業して丸4年で、今サービスを始めて3年半ぐらい経っていますね。
長田氏:
この1年というのはやっぱり全然違うものでしたか?
秋元氏:
そうですね。全く違う1年でした。本当にこの1年で40倍弱とかに規模も成長したのですけれども、やっぱりこれまでって、かなりニッチなサービスという認識だったところから、もう少し、よりマスというか、普通の方々も産直でお取寄せをするように今なってきているので、本当にこの1年は消費者サイドも生産者サイドもすごく大きく変革した1年だったなと思っています。
長田氏:
なるほど。でも新しい流通のシステムを持ち込むというのは、いろいろな苦労もあったかと思うのですけれども、そこはやっぱり一つ一つ説得していくところが一番大変でしたか?
秋元氏:
やっぱり生産者さんに理解していただくというか、信頼していただくのにすごく時間はかかりました。私、元々全く違う業界にいたので、4年前創業した時はもちろん人脈もなければ信用もない状態だったので、本当に初期の頃、一人一人回らせていただいて、その時から応援してくださっている人が今も引き続き応援してくれているのですけれど、徐々にその生産者さんが周りの生産者さんを巻き込んでくれて、食べチョクは信頼できるよっていうのをいろいろな人に言ってくれていたからこそ、本当に徐々に徐々に広まっていったのかなと思っています。今は全国から3,000軒以上、生産者さんにご登録いただいているのですけれども、ほとんど全部口コミで入ってきていただいているので、すごいありがたいなと思っています。
長田氏:
我々パブリッシャーの業界でも収益の多様化というのはすごく求められているものなのですけれども、農業をやられてる方も流通が一つだけでないというところが、非常に大きなポイントなのかなというふうに思いました。
秋元氏:
おっしゃる通り、やっぱりどうしてもこれまでというのが、どこか一個の販路に依存するものが多かったなかで、特に今回コロナの影響もあって、やはり販路をたくさん選択肢として持っておく、例えば直販の割合はそんなに多くなくてもいいからちょっとだけでもやっておくと、なにか起きた時にすぐにスイッチできたりとかするというのが、農業界の中でもそっちの方がいいよね、という意見が増えてきているので、本当にこれからより販路の多様化・多角化は進んでいくんじゃないかなと思っています。
長田氏:
なるほど、じゃあ、ある意味、競合も増えていくのかなというふうに思いますけれども、
そこについては、なにかお考えになっていますか?
そこについては、なにかお考えになっていますか?
秋元氏:
そもそも、すごくプレイヤーが少ない業界だなと思っています。私、前職はソーシャルゲームの業界にいたのですけれども、そこからするとやはり競争ってあんまりないなと感じています。もちろん、今でもいますしこれから増えていくのですけれども、もっともっと参入するプレイヤーが増えた方が業界としての認知度もそうですし、やっぱり競うことで両者大きくなれると思うので、もっともっといろいろなプレイヤーが入ってもらえた方が私たちとしては嬉しいなと思っています。
長田氏:
やっぱり多様性というのは、どの分野でも必要なのかなというふうに思いますよね。
秋元氏:
そうですね。販路に限らず本当にいろいろ、農業の経営においては、いろいろな経営における選択っていっぱいあるのですけれども、私たちは今まだ販路の部分しかできてないですが、本当にいろいろな可能性を秘めている業界かなと私自身は思っています。
長田氏:
なるほど、先ほどから何度か言及いただいていますけれども、コロナの影響というのは非常に大きかったと思います。具体的にどのくらい、先ほど40倍というふうにおっしゃっていましたけれども、どのくらいのインパクトがありましたか?
秋元氏:
生産者さん側への影響がとにかくまず大きかったですね。やっぱりこれまで生産者さんからすると直販て手間もかかるし、本当に小さい規模しかやらないよねというところだったのが、今回コロナで飲食店とかに出していた方々が販路をなくしてしまったり、市場出荷している人も価格が暴落してしまってもう捨てる方がいいみたいな状況になってしまっていたものが、本当に品目によるのですけれどもありました。
そんななかで、本当にその生産者さんが直販にどんどん切り替える人が増えて、2月末の段階で750軒だった登録者が、今3,000軒まで増えているので、本当に多くの方々が直販というのに意識が向いてくれたなというふうに思っています。今も月に300軒以上ですね、お問い合わせいただいている状態なので、まだまだこれから伸びていくかなとは思っています。
消費者サイドもすごく大きく変わって、大きく二つあると思っているのですけれども、一つがステイホームで家にいる時間が増えたので、やっぱりこれまでってどうしても内食って時短ニーズというか、なるべく手間をかけずに作りたいというニーズが強かったのですけれども、家にいるからこそ家の中の食を楽しもうというニーズが大きくなってきまして、
例えば、鯛とかもこれまでは切り身じゃないとなかなか売れなかったのですね。丸ごと1匹届いても、捌くのが大変だからというので売れなかったのですけれども、コロナ後はどちらかというと丸ごと1匹買う人がすごく増えて、それは捌くところからエンタメ性としても楽しめるというか、そういう料理をしている過程から楽しんで、食卓でも例えば生産者さんの話題をすることで、より盛り上がるというか深く楽しむことができるというので、そこに魅力を感じてくれる方がすごく増えたなと思っています。
もう一つは、そういう生産者さんが困っているというのを多くのメディアさんが報道していただいたことによって、当たり前のように私たちが食べている食材、スーパーに並んでいる食材とか飲食店で食べている食材って、その先にやっぱり作り手がいるというところを体感として理解された方がすごい多いんじゃないかなと思っています。もちろん、生産者がいることは皆さん構造的には理解していますけれども、普段の食生活であまり意識することってないと思うのですね。なので、そういういろいろなメディアさんが取り上げていただいた結果、消費者サイドの意識も生産者さんに向きやすくなったかなというのは思っています。そこの二つもあって、私たちのサービスを使ってくれる方も大きく増えたなと思っています。
そんななかで、本当にその生産者さんが直販にどんどん切り替える人が増えて、2月末の段階で750軒だった登録者が、今3,000軒まで増えているので、本当に多くの方々が直販というのに意識が向いてくれたなというふうに思っています。今も月に300軒以上ですね、お問い合わせいただいている状態なので、まだまだこれから伸びていくかなとは思っています。
消費者サイドもすごく大きく変わって、大きく二つあると思っているのですけれども、一つがステイホームで家にいる時間が増えたので、やっぱりこれまでってどうしても内食って時短ニーズというか、なるべく手間をかけずに作りたいというニーズが強かったのですけれども、家にいるからこそ家の中の食を楽しもうというニーズが大きくなってきまして、
例えば、鯛とかもこれまでは切り身じゃないとなかなか売れなかったのですね。丸ごと1匹届いても、捌くのが大変だからというので売れなかったのですけれども、コロナ後はどちらかというと丸ごと1匹買う人がすごく増えて、それは捌くところからエンタメ性としても楽しめるというか、そういう料理をしている過程から楽しんで、食卓でも例えば生産者さんの話題をすることで、より盛り上がるというか深く楽しむことができるというので、そこに魅力を感じてくれる方がすごく増えたなと思っています。
もう一つは、そういう生産者さんが困っているというのを多くのメディアさんが報道していただいたことによって、当たり前のように私たちが食べている食材、スーパーに並んでいる食材とか飲食店で食べている食材って、その先にやっぱり作り手がいるというところを体感として理解された方がすごい多いんじゃないかなと思っています。もちろん、生産者がいることは皆さん構造的には理解していますけれども、普段の食生活であまり意識することってないと思うのですね。なので、そういういろいろなメディアさんが取り上げていただいた結果、消費者サイドの意識も生産者さんに向きやすくなったかなというのは思っています。そこの二つもあって、私たちのサービスを使ってくれる方も大きく増えたなと思っています。
長田氏:
そのなかで、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受ける生産者のサポートを行い続けているということなのですが、送料無料がその大きなものの一つかと思います。スタートアップ企業としてかなり大きな決断だったんじゃないかなと思うのですけれども、それを決めた際というのはどうだったのでしょうか?
秋元氏:
そうですね。2020年の3月から送料を500円、うちが負担するというのをスタートしました。今は、5月末からは農水省さんが送料を負担していただけることになったので、今は農水省さんの方に切り替えています。3月に送料を負担する、しかも特定商品ではなくて全商品で負担するというのを決めた背景としては、正直ですね、500円を負担してしまうと
うちのビジネスモデル上は利益が全く出ない、むしろ赤字になっちゃうような状態なのですね。
ただ、やはり2月末くらいから生産者さんからSOSがいっぱいきていまして、売り先が急になくなってしまって、売上がゼロになっちゃうとか、たくさん畑に余っていてどうしよう、という声が全国各地から寄せられるようになって、今までになかった事態だったのでこのままだと声をあげる人はもちろんいるのですが、その先に声を上げないけれども同じ、もしくはもっと影響が出ている人たちがいるということを考えたら、本当に廃業する人がたくさん出てきちゃうなというのを危機感として感じました。
実際、私が今、事業をやってきたこの3年半の間にも初期に協力していた方でそれこそ亡くなってしまったりとか、結局農業をやめてしまったりした方が何人かいらっしゃるのですけれども、そういう人たちを出したくないなという気持ちがやっぱり日頃から強く持っていたので、今回これだけ大きな影響が出そうというのが目に見えていたので、いったん、一時的に赤字になったとしても、とにかく生産者さんに続けてもらうというところの優先順位を上げようというので全社としてそっちに振り切って3月から動いたというのがあります。
うちのビジネスモデル上は利益が全く出ない、むしろ赤字になっちゃうような状態なのですね。
ただ、やはり2月末くらいから生産者さんからSOSがいっぱいきていまして、売り先が急になくなってしまって、売上がゼロになっちゃうとか、たくさん畑に余っていてどうしよう、という声が全国各地から寄せられるようになって、今までになかった事態だったのでこのままだと声をあげる人はもちろんいるのですが、その先に声を上げないけれども同じ、もしくはもっと影響が出ている人たちがいるということを考えたら、本当に廃業する人がたくさん出てきちゃうなというのを危機感として感じました。
実際、私が今、事業をやってきたこの3年半の間にも初期に協力していた方でそれこそ亡くなってしまったりとか、結局農業をやめてしまったりした方が何人かいらっしゃるのですけれども、そういう人たちを出したくないなという気持ちがやっぱり日頃から強く持っていたので、今回これだけ大きな影響が出そうというのが目に見えていたので、いったん、一時的に赤字になったとしても、とにかく生産者さんに続けてもらうというところの優先順位を上げようというので全社としてそっちに振り切って3月から動いたというのがあります。
長田氏:
そこは、もしかしたら自分たちの会社が潰れてしまうかもしれないという危機感はなかったのですか?
秋元氏:
ずっとは続けられないなと思っていましたので、最初はまず1か月限定でスタートしてそれでもう少し、3月限定でやったら、それから3、4、5とこう、どんどんどんどん、やっぱり悪化していったじゃないですか?なので、3月までやったのですけれども、そこから延長を決めて、私たちのなかで潰れないギリギリまでやろうというのはありました。
ただ、さすがにもう5月以降は、そもそももう延長できなかったですね。これ以上延長するともう本当にうちも危ないという感じだったので、ちょっと5月が限界かなと思っていた時に農水省さんが送料を負担する事業を国のお金でスタートしてくださったので、私たちもそっちに切り替えることができて、生産者さんもそれで多くの方が販路を見つけることができたんじゃないかなと思っています。
ただ、さすがにもう5月以降は、そもそももう延長できなかったですね。これ以上延長するともう本当にうちも危ないという感じだったので、ちょっと5月が限界かなと思っていた時に農水省さんが送料を負担する事業を国のお金でスタートしてくださったので、私たちもそっちに切り替えることができて、生産者さんもそれで多くの方が販路を見つけることができたんじゃないかなと思っています。
長田氏:
そこからさらに拡大していったところもありますか?
秋元氏:
3、4、5は正直、流通額は伸びていても、うちの利益としてはもうほとんどないという状態だったのですけれども、そこからはそのお客さんとかが今、引き続き継続して使ってくださっているので、事業としては大きく結果的には伸びたという感じですね。
長田氏:
その決断に対して投資家の方とかへの説明というのはどうだったのでしょうか?
秋元氏:
先ほどお話ししたような話を投資家さんにも説明はさせていただきました。もちろん、投資家さんもいらっしゃるので、無責任に負担をして会社を潰すわけにはもちろん経営者としてはいかないので、いつ、どういう状態になったらやめるとか、そういったことはもちろん説明した上で、でも投資家の皆さん、やっぱり私たちの会社の生産者さんのこだわりが評価される世界になるというところに共感をしてくれて出資をいただいているので、皆さん特になにか異論があるわけではなく合意をできたと思っています。
長田氏:
そこから需要がすごく伸びて、会社自体もかなり大きくなったと記事で読んだのですけれども、通常の業務もしながら会社の拡大もして、さらにこういう場にも出られて本当にすごい忙しそうだなぁという印象があります。
秋元氏:
5月はやっぱりすごく大変で、それまでの1か月の注文が1日で入ったりとかしていたので、その時、社員も10人いないくらいだったのですね。なのでお問い合わせも、もちろん急増していたので、もう本当に私も朝4時までお問い合わせの対応をするというような感じでかなりバタバタはしていました。ただ、すごくこう私たちの会社の社員も皆、例えば実家が農家だったり、やっぱり生産者さんのなにかこう力になりたいとか貢献したいという気持ちが皆強かったので、その時はやっぱり皆が同じ目標に向かってとにかくこの危機を乗り越えるというのだけを考えて動いていました。なので、すごい辛かっただとか、そういう気持ちはないですけれども、とにかくなるべく注文を止めない、私たちが運営側の事情で注文を止めてしまうと生産者さんの売り上げにも響くので、とにかく早く運営側の体制も強化して注文を受け続けるということを両立をしようというので動いていました。
長田氏:
この春からの今までの間でいろいろなことがあったと思うのですけれども、
デジタル施策において、例えばどういった改善とかされていたのでしょうか?
例えば、サイトをリニューアルしたとか。
デジタル施策において、例えばどういった改善とかされていたのでしょうか?
例えば、サイトをリニューアルしたとか。
秋元氏:
色々やったのですけれどもまず、実は大きいところとして、ちょっとこれはデジタルじゃないですけれども、テレビCMを7月にうつというのを4月に決定をしたのですね。そこがやっぱり私たちのなかでは費用もかかりますし、すごく大きくお客さんを獲得しなきゃいけないですし、する予定のマーケティング施策だったので、そこに向けてデジタル絡めて、
いろいろな施策を4月に決定したのに3か月間でぎゅっと詰め込んでたくさんうちました。 もちろん、例えばサイトの改善、生産者さんのこだわりがちゃんと伝わるような見せ方だったりとか、CMだと本当、15秒で概要しか伝わらないので、もっと裏側にある生産者さんの想いを届けるために、別で動画を作ってそれをサイトに来た初めての方には見ていただくとかそういう導線設計であったりとか、これまでやっていなかったアプリの開発、iOSのリリースだったり、そういったところをやっていました。でも併せて、もちろん Webマーケティング、デジタルマーケティングの方もCMのクリエイティブに合わせて、全部いっそ、がらっと変えて動かしたりとかしていましたね。その3か月間、本当にとにかくCMを最大化する、乗り切るというのでいろいろな施策を動かしていました。
いろいろな施策を4月に決定したのに3か月間でぎゅっと詰め込んでたくさんうちました。 もちろん、例えばサイトの改善、生産者さんのこだわりがちゃんと伝わるような見せ方だったりとか、CMだと本当、15秒で概要しか伝わらないので、もっと裏側にある生産者さんの想いを届けるために、別で動画を作ってそれをサイトに来た初めての方には見ていただくとかそういう導線設計であったりとか、これまでやっていなかったアプリの開発、iOSのリリースだったり、そういったところをやっていました。でも併せて、もちろん Webマーケティング、デジタルマーケティングの方もCMのクリエイティブに合わせて、全部いっそ、がらっと変えて動かしたりとかしていましたね。その3か月間、本当にとにかくCMを最大化する、乗り切るというのでいろいろな施策を動かしていました。
長田氏:
なかでもここは効いたなって思うのはどこですか?
秋元氏:
そうですね。本当にいろいろな積み重ねなので、なんだろう?でもやっぱり私たちの場合は、本当に生産者さんの商品が結構なんだかんだ一番大事なんですね。なので、生産者さんの商品企画のところに力を入れていて、そこがなんだかんだ最終的に効いたかなと思っています。具体的には、例えば生産者さん、トマトを5キロとかで売っている方だと家庭で5キロトマト買ってもやっぱりどう調理したらいいかわからない。サラダとかにはできるけれども、残りどうしようってなっちゃうので、シェフの方にレシピを開発していただいて、シェフの方にもレベニューシェアで収益も入るモデルで、生産者さんはそのレシピをつけて売ることでより消費者の人に届けやすくするというようなシェフを絡めた商品企画であったり、あと食べチョクの福袋みたいな中身があえてランダムというか、わからなくして何が届くかお楽しみというような、ちょっとこうワクワク感があるような商品企画を生産者さんと一緒にやらせていただいたりとか、そういったところが結構お客さんには新しく映って多くの人に注文していただけたかなと思っています。
長田氏:
生産者さんって農業のプロだと思うのですけれども、そういう意味では、デジタル分野にはあまり詳しくない方が多いと思うのですが、そういう方々をのせるには、なにか秘訣とかあるのですか?
秋元氏:
生産者さんの出荷の管理画面だったりとか生産者さん用のサイトがあるのですけども、そこの利便性を向上するというのも、もちろんすごく重要です。ただ本当に、そもそもネットにちょっとアレルギーがあるとかそういう方もいらっしゃるので、新しくご近所出品という機能を食べチョクでスタートしました。それは若手の生産者さんが、周りの高齢の生産者さんを巻き込んで一緒に共同で出荷できる機能なのですね。それは私たちのサービス上は、やっぱり生産者さんの顔が見えたり、繋がれるというところがすごく大事なコンセプトとしてあるので、高齢の方にもちゃんとアカウントを作っていただいて、どういう作り方をしてるかというのはちゃんと届けた上で、出荷は一緒にやるというような仕組みです。これによって、90歳の方とかもご登録いただいたりとか、本当に高齢の方が少しずつ今入ってきているので、こういった取り組みをもう少し拡大していって、より多くの人に使っていただけたらなというのは思っています。
長田氏:
最近、ニュースで見たのですけれども、若い方が、農業にかなり熱意をもって参加されている方が多いと聞いたのですが、そのへんは感じていらっしゃいますか?
秋元氏:
そうですね。実は新規の就農者って結構増えている傾向があるのですね。ただ、全体の農業の従事者のバランスでいくと平均年齢が67歳なので、多くが高齢な方で若い人は増えてはいますが、やっぱり割合でいうとそんなに多くはないという状況です。私たちのなかでも、やっぱり若い人がキーになるなと思っていて、若い方って、それこそ自分の娘さんとかが、やっぱりこの地域で大人になっても暮らしていて欲しいとかっていう気持ちがあったりするので、自分だけが儲かるじゃなくて、地域を巻き込んで地域を盛り上げていきたいという
思考の方が本当に多いなと思っています。なので、そういうある意味、地域を巻き込みたいっていう意欲のある生産者さんと今、私たちもタッグを組ませていただいて、そういう方に中心となってもらって、どんどんどんどん他の周りの生産者さんを巻き込んでもらう、もっと地域のネットワークを活用した出品の仕組みとかができてくるとより多くの人に広がってくるのじゃないかなと思っています。
思考の方が本当に多いなと思っています。なので、そういうある意味、地域を巻き込みたいっていう意欲のある生産者さんと今、私たちもタッグを組ませていただいて、そういう方に中心となってもらって、どんどんどんどん他の周りの生産者さんを巻き込んでもらう、もっと地域のネットワークを活用した出品の仕組みとかができてくるとより多くの人に広がってくるのじゃないかなと思っています。
長田氏:
どんどん変わっていきそうですね。
秋元氏:
そうですね。私たちのなかでは、今スタート地点にようやく立てたと思っているのですけれども、3,000軒、生産者さんが集まったのですが、やっぱり若い方が中心ではあります。
なので、この今集まってくださった本当に素晴らしい生産者さんがより他の人たちに派生的に広げていくということが、ようやく今スタート地点に立ってできるので、これからの1年が本当にまた大事になってきますし、私自身すごい楽しみですね。
なので、この今集まってくださった本当に素晴らしい生産者さんがより他の人たちに派生的に広げていくということが、ようやく今スタート地点に立ってできるので、これからの1年が本当にまた大事になってきますし、私自身すごい楽しみですね。
長田氏:
直近のチャレンジしたいことというのは具体的にいうと何でしょうか?
秋元氏:
直近は、高齢者さんの参画、新しい出品形態のスタートには力を入れたいなと思っています。
その一つが、先ほどのご近所出品という機能なのですけれども、それ以外にももっと出荷する手間を減らすことによって、多くの人が簡単に参加できるようになったらいいなと思っていて、そういった準備とかもしています。私たちのなかでは、今年は若い方だけではなくて、高齢者の方々も巻き込んでいけるような事業にしていくというのがある意味この1年のテーマかなと思っています。
その一つが、先ほどのご近所出品という機能なのですけれども、それ以外にももっと出荷する手間を減らすことによって、多くの人が簡単に参加できるようになったらいいなと思っていて、そういった準備とかもしています。私たちのなかでは、今年は若い方だけではなくて、高齢者の方々も巻き込んでいけるような事業にしていくというのがある意味この1年のテーマかなと思っています。
長田氏:
なるほど。すごく今の時代にマッチしたビジネスだなというふうに感じました。
秋元氏:
ありがとうございます。
長田氏:
秋元さん今日はありがとうございました。
秋元氏:
ありがとうございました。
Web人賞
中村 利江 氏
株式会社出前館
受賞インタビュー
受賞の連絡を受けた際の、率直なお気持ちをお聞かせください。
中村氏:
最初は存じ上げてなかったので非常にびっくりしたのですけれども、
Webの世界はこれから日本全体を盛り上げていく原動力になると思いますので大変嬉しく思いました。
Webの世界はこれから日本全体を盛り上げていく原動力になると思いますので大変嬉しく思いました。
今年、フードデリバリー事業が急拡大しましたが
パイオニアとしての率直なお気持ちと気をつけていたことをお聞かせください。
パイオニアとしての率直なお気持ちと気をつけていたことをお聞かせください。
中村氏:
まず、急速にフードデリバリーが拡大しましたことにつきましては、
当社としてはもう20年目になるのですけれども、やっと認められてきたのかなという思いがすごくありました。そして、その中で気をつけてきたことは、やはりこのフードデリバリーを一時のブームに終わらせるのではなくて、日常に根付かせていくというのが非常に重要だと思っておりますので、それぐらいのクオリティの高さと安心・安全ということを非常に気をつけてきました。
当社としてはもう20年目になるのですけれども、やっと認められてきたのかなという思いがすごくありました。そして、その中で気をつけてきたことは、やはりこのフードデリバリーを一時のブームに終わらせるのではなくて、日常に根付かせていくというのが非常に重要だと思っておりますので、それぐらいのクオリティの高さと安心・安全ということを非常に気をつけてきました。
参入してくる競合事業者が多いなか
他社と差別化できる自社の価値についてお聞かせください。
他社と差別化できる自社の価値についてお聞かせください。
中村氏:
競合で特にグローバルからの参入が非常に多いのですけれども、
元々のビジネスモデルが全く違っているという風に思っています。
競合で主なところは※ギグワーカーさんを使ってエリア関係なしに配達できる人に頼んでいく仕組みなのですけれども、当社の場合は半径3キロ程度のエリアを決めてそのエリアの中でいかに配達効率を上げるかですとか、エリアの中の店舗様とユーザー様をいかに結びつけるかってことを非常に考えていますので、その辺が実は大きく異なっていると思っています。
※ギグワーカー:プラットフォームサービスを通じて単発の仕事を請け負う人。
元々のビジネスモデルが全く違っているという風に思っています。
競合で主なところは※ギグワーカーさんを使ってエリア関係なしに配達できる人に頼んでいく仕組みなのですけれども、当社の場合は半径3キロ程度のエリアを決めてそのエリアの中でいかに配達効率を上げるかですとか、エリアの中の店舗様とユーザー様をいかに結びつけるかってことを非常に考えていますので、その辺が実は大きく異なっていると思っています。
※ギグワーカー:プラットフォームサービスを通じて単発の仕事を請け負う人。
コロナ禍で飲食店従業員を緊急雇用により支援するいっぽうで、
サービスの質を保つために行った特別なことはありますか?
サービスの質を保つために行った特別なことはありますか?
中村氏:
やはり最初の教育・研修が非常に重要だと思っていますので、基本的に私たちは配達員としてスタートしていただく前に3時間程度の研修をしっかりやって、それをクリアした方だけに配達をしていただくようなことに取り組んでいます。ですから、非常にイニシャルコストはかかるのですけれども、かかったとしてもそれが後々定着していってくださるので、最終的にはこちらの方がいいのではないかなと思っています。
中村様ご自身も配達をすることがあると伺いましたが、
今でも続けていらっしゃいますか?また、現場で得られたことをお聞かせください。
今でも続けていらっしゃいますか?また、現場で得られたことをお聞かせください。
中村氏:
配達の方は電動自転車でさせていただくのですけれども、今でも3ヶ月に1回程度は少しさせていただいています。やっぱりすごくいいなと思いましたのが、お客様と対面できるので、どのようにお客様が私たちの商品を待っていただいて受け取っていただくのかというのがわかることと、あとは実際、配達しますので、私たちが提供するアプリケーションの使い勝手の良さ、悪さというのが非常にわかります。
もう一つは現場の人たちともお話ができるので、「え?社長が、会長が、こんなところまでするの?」ということでいろいろなお話をしていただけるので、現場のことがいち早くキャッチアップできたのかなという風に思っています。
もう一つは現場の人たちともお話ができるので、「え?社長が、会長が、こんなところまでするの?」ということでいろいろなお話をしていただけるので、現場のことがいち早くキャッチアップできたのかなという風に思っています。
他にも管理層の方で現場に出られる方はいますか?
中村氏:
シェアリングデリバリーの責任者である清村執行役員をはじめ、
できるだけ皆やるようにしています。
できるだけ皆やるようにしています。
長らく貴社の経営に携わってきたなかで
当初感じていた課題や現時点での達成感についてお聞かせください。
当初感じていた課題や現時点での達成感についてお聞かせください。
中村氏:
まずですね、サービスを始めたときは出前館も全然認知度もないですし、認知度だけではなくて、やはりやりたかったことは飲食店さんにとってイートインだけではなくて、デリバリーというのはすごい強い武器になるよってことをお知らせしたかったと思っています。
20年やってきてなんとかイートイン + デリバリーっていうのはお店にとって新しい武器なんじゃないかということが、だいぶ認知していただけたのかなという風に思っていますので、ある程度の達成感と言いますか、育ててきた子供が成人になって次の成長を他の人に託すステージに来たのかなと思っています。
20年やってきてなんとかイートイン + デリバリーっていうのはお店にとって新しい武器なんじゃないかということが、だいぶ認知していただけたのかなという風に思っていますので、ある程度の達成感と言いますか、育ててきた子供が成人になって次の成長を他の人に託すステージに来たのかなと思っています。
エクゼクティブ・アドバイザーとしての
今後の関わり方や活動についてお聞かせください。
今後の関わり方や活動についてお聞かせください。
中村氏:
やはりこれまでの経験を活かしながらいろいろなアドバイスも当然するのですけれども、
もっともっとやっぱり知られてない部分が多いですから、広報活動ですとか、あとは全国各地にシェアリングデリバリーの拠点ができていきますので、この拠点を活性化させるようなセミナーですとかそういったことを中心に動いていこうという風に考えています。
もっともっとやっぱり知られてない部分が多いですから、広報活動ですとか、あとは全国各地にシェアリングデリバリーの拠点ができていきますので、この拠点を活性化させるようなセミナーですとかそういったことを中心に動いていこうという風に考えています。
個人として、これからどのようなことに取り組みたいですか?
中村氏:
せっかく20年間ですね、ベンチャー企業としてやってきましたので、いろいろなノウハウがたまりました。最初はやっぱりお金もなくて人脈もなくてかなり苦労はしたのですけれども、そのノウハウを後進の方々といいますか、これからのベンチャー立ち上げたい方ですとか、あとは企業の立て直しをされたい方にちょっとでもお手伝いになるような仕事が出来ればいいかなという風に考えています。
Web人賞
藤井 保文 氏
株式会社ビービット
受賞インタビュー
藤井氏:
この度は光栄な賞をいただきましてありがとうございます。株式会社ビービットの藤井と申します。web人賞をいただきまして大変嬉しく、また、ありがたく思っているところでございます。web人という言葉をあててくださったからこそ、この場では普段なかなか外では言えないようなことを言いたいなというふうに思っております。アフターデジタルという書籍を書かせていただいていて、恐らくそれが大きな要因であるかなというふうに思っているのですが、アフターデジタルという概念自体もリアル変調というか、リアルに軸足を置いた考え方からデジタルやオンラインが前提の社会になるというところを示した言葉になっています。
結構色々なところでは、その時はリアルは引き続き重要になりますよという話を申し上げるのですがこれは嘘ではないと思っていて、当然リアルも重要だと思っている一方で、普段言えない言い方だが、本当は思っていることがありまして、なにかというとwebやデジタルやオンラインというものがリアル空間を飲み込んでいくとか、そこに浸透していき主従が逆転するみたいなことは、本当は心の中で思っていることであったりします。ただ、簡単に受け入れてもらえる言葉ではないので、様々にこう、濁したりだとか言い方を変えて、これを世の中に伝えているという形なのです。そうすると、これは言い換えるとwebの力を信じていたこの場にいるような皆さんのような方々が、これからの時代もっとビジネスの根幹にどんどん入っていき、主戦場になっていくという話を私はしているよなと思っていて、これは単にwebの広告費がリアルな広告費を上回るとかそういう話ではなく、もっと大きな話になるなと思っています。
私、ビービットという会社にいて、ビービットはUXのコンサルティングとUSERGRAMというSaaSを提供している会社なので、UXの専門家というふうに言わせてはいただいているのですが、今どうしてもUXと言うと、UI/UXみたいなかたちで、デザインやディスプレイ上のインタラクションの話がメインになってきてしまうケースが多いなと思っていますし、どうしてもデジタルマーケティングの中の一部の領域だったり、サービス作りの中の一部の領域みたいなかたちで言われることが多いように現状は感じています。ただ、グローバルの状況とか、私自身は上海に駐在しているので、中国の状況とかを見ると、もうUXというのは今、経営課題のように語られたり、ビジネス作りの根幹とか環境作りの根幹という話だと捉えられているなと思っていますし、先ほど申し上げたようなオンラインがリアルを覆っていくような時代において、テックとかUXというものが何より重要な時代になったなと思っています。
少しだけ難しい話をしてしまうと、人の行動を変える4つの要素というのをローレンス・レッシグさんという方がおっしゃっているのですが、その時の4つというのが法と規範と市場原理とアーキテクチャという4つでお話をされています。法はわかりやすいですよね。これがダメと規定されているとそれはしなくなる。規範はこれはモラルみたいなものなので、これは良い行動だ、美徳だとなると皆さんそういう行動するようになる。市場原理はこうすると儲かるという方向づけがされ、皆そういう風に動く。それに対して4つ目、アーキテクチャというものがあるのですが、例えば我々も生きているなかで、踏切が鳴ったら止まるとか、歩道と車道が分かれていてこっちは人が歩くとかというのも、なんとなくそういう構造だと認識をしていたりしますよね。例えば他にも、今どうなっているかわからないですけれども、マクドナルドの椅子とかってものすごく硬いプラスチックで作られている、みたいなふうになっているとやっぱり快適に座ることはできないので、長く居るということはしづらくなって、そうすると回転率が上がるみたいなかたちで環境を作ることによって人の行動が変わる、というのがアーキテクチャという考え方になっています。
これは通常、国とか自治体が考えていくような話である一方で、web上においては民間企業や個人でもアーキテクチャが作れていたというのが、これまでの時代だったなと思っています。なので、本当にカスタマージャーニーを描くみたいなものと近いかたちで行動設計をしていくことによって、皆さんがより快適に思ったように行動できるというふうに作っていける。ただ、今やはり、飲食でも移動でも全部オンラインに繋がるようになってきて、街中のお支払でも全部モバイルアプリを通すようになってきて、そうするとリアルとデジタルが融合するというかたちになってくると、デジタルやwebの原理でこれを統合することができるようになったので、webでそれこそジャーニーを設計していたり、UXを作ったり、web上でのロジックを考えていたような人々がその力をリアルにも応用できるような時代になったというのが一番私の思っていることです。
実際、中国だとこういったオンオフの融合がものすごく進んで、いわゆる日本でも最近言われるOMOみたいなものが当たり前になっているので、それをすると簡単にぼったくりをしたり、遠回りをしたりするようなタクシーのドライバーがそういうことをしなくなる。それはなぜかというと、例えば行動データを取ることによって自分の移動しているGPSだとか、自分の運転速度だとか、もしくはユーザーから届いたメールにちゃんと返信しているだとか、みたいなところがスコアリングされるようになって、これで鬱屈するかというと、逆にそのスコアリングを高めていくと給料が上がるみたいなかたちに今なっているので、結構自分たちから進んでお金儲けしたいからどんどん良い行動をしようみたいなかたちになっていたりします。こういったことがたくさん起きているので、中国においての民度はどんどん上がっていったりだとか、事業者もユーザーもドライバーのような人たちも三方よしで仕組みがまわせるみたいなことが起きていたりします。なので、まさにこれはオンオフ融合時代にデジタルプレーヤーだからこそできるようになったことだなと思いますし、これはテクノロジーとUXの時代が来たみたいなふうにも言えるし、言い換えるとある意味、web人の人たちが世の中をリードできる時代になったというふうにも言えるのだろうなと私は捉えています。
あらためて、こういう時代の転換点にこういった賞をいただけることは本当にありがたいことだなと感謝をしております。より一層、今のような考え方を広めていくことで、それこそ日本の進化であったり、もっとデジタルが浸透しきってよりよい社会になるというところで少しでもそれが促せるように、これからも働きかけていきたいなと思っています。本日は、このような貴重な場をいただきまして、ありがとうございました。
Web人賞
藤代 裕之 氏
法政大学 教授
受賞インタビュー
インタビュアー:
四谷 志穂 氏 ( 株式会社インプレス )
四谷氏:
株式会社インプレス Web担当者 Forum編集部 四谷 志穂と申します。
よろしくお願いいたします。
本日はWeb人賞を受賞された法政大学 社会学部メディア社会学科 教授
藤代 裕之 様にお話を伺いたいと思います。
藤代様、この度は受賞おめでとうございます。
よろしくお願いいたします。
本日はWeb人賞を受賞された法政大学 社会学部メディア社会学科 教授
藤代 裕之 様にお話を伺いたいと思います。
藤代様、この度は受賞おめでとうございます。
藤代氏:
ありがとうございます。
四谷氏:
藤代様は『アフターソーシャルメディア 多すぎる情報といかに付き合うか』という、こちらの書籍を今年出版されて、こちらの書籍の内容が高く評価されて受賞されたということなのですけれども、こちらの本のお話、藤代さんからお話いただけますか?
藤代氏:
ソーシャルメディアが生まれて20年ぐらい経ちました。Twitter とか、Facebook とか
Instagram とか、たくさんのソーシャルメディアが生まれ、発信方法についてはたくさん本が出ていると思うのです。
ブログの書き方とか、バズらせる方法とか、でも実はソーシャルメディアに囲まれた生活者の情報接触は、あまりよくわかっていないところがあると思います。
大学で教えるようになって大学生と話が合わないわけです。
一つは自分が年をとったということだと思うのですけれども。もう一つは、ニュースのメディアの界隈、四谷さんもそうですが、IT業界の人たちがバズっているとか、話題になっているという話と、大学生の話が全然違うのですよね。
どうして違うのだろう。自分が全然違うニュースを見続けてしまうと話が合わない。それで、情報背職を解明しようと思ったのです。
『アフターソーシャルメディア』は、NHK放送文化研究所(文研)が協力してくれているのですけれども。数年前に委員になった時に、国民生活時間調査や日本人の意識構造など、メディアと情報接触の調査データを持っている文研の皆さんに聞いたんですよ、視聴者って今どんな感じの人たちなのですかって。皆が首をかしげて「わからないですねえ」って言うんですよ。
Instagram とか、たくさんのソーシャルメディアが生まれ、発信方法についてはたくさん本が出ていると思うのです。
ブログの書き方とか、バズらせる方法とか、でも実はソーシャルメディアに囲まれた生活者の情報接触は、あまりよくわかっていないところがあると思います。
大学で教えるようになって大学生と話が合わないわけです。
一つは自分が年をとったということだと思うのですけれども。もう一つは、ニュースのメディアの界隈、四谷さんもそうですが、IT業界の人たちがバズっているとか、話題になっているという話と、大学生の話が全然違うのですよね。
どうして違うのだろう。自分が全然違うニュースを見続けてしまうと話が合わない。それで、情報背職を解明しようと思ったのです。
『アフターソーシャルメディア』は、NHK放送文化研究所(文研)が協力してくれているのですけれども。数年前に委員になった時に、国民生活時間調査や日本人の意識構造など、メディアと情報接触の調査データを持っている文研の皆さんに聞いたんですよ、視聴者って今どんな感じの人たちなのですかって。皆が首をかしげて「わからないですねえ」って言うんですよ。
四谷氏:
一番情報を持っているのに。
藤代氏:
そう。文研がわからなかったら、誰もわからないだろうと。そこで、世論調査部の人たちとかと議論をするようになって、新しい切り口の調査が行われています。調査はレポートとして発表されているのですが、まとめたほうがいいなと研究会にお声掛けして、参加してくれるようになりました。去年ぐらいですかね。
四谷氏:
執筆には博報堂DYメディアパートナーズさんもご協力しているのですよね?
藤代氏:
そうですね。ビジネスの世界でメディア関連のデータをプレゼンするとき使うとしたら、文研のデータか、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の「接触時間400分越え」(注1)みたいなやつですよね?
(注1)メディア定点調査:https://mekanken.com/mediasurveys/
(注1)メディア定点調査:https://mekanken.com/mediasurveys/
四谷氏:
そうですね
藤代氏:
文研の協力は得られそう。なら、もっと生々しい事例も欲しいなと思って、当時メディア環境研究所の所長をされていた吉川昌孝さんに声をかけました。
吉川さんに話を持っていくと「わからないことは多いけれど、新しい動きがある」と。それが、『アフターソーシャルメディア』に出てくる暗闇ラジオとかトリプルスクリーンとかです。
メディア環境研究所は、メディア定点調査に加え、ぐっと生活者に迫っていくような質的な調査に特色があり、それとNHKの量的な調査を組み合わせて、法政大学が進めていた大学生の生々しい姿というのを組み合わせたら、なんとか、見えなかった姿が浮かび上がってくるんじゃないかと考えました。
吉川さんに話を持っていくと「わからないことは多いけれど、新しい動きがある」と。それが、『アフターソーシャルメディア』に出てくる暗闇ラジオとかトリプルスクリーンとかです。
メディア環境研究所は、メディア定点調査に加え、ぐっと生活者に迫っていくような質的な調査に特色があり、それとNHKの量的な調査を組み合わせて、法政大学が進めていた大学生の生々しい姿というのを組み合わせたら、なんとか、見えなかった姿が浮かび上がってくるんじゃないかと考えました。
四谷氏:
情報過多時代に、我々生活者がどういう風に情報を取得しているのかが、この中にかなり、6章ぐらいまでは、内容がすごく丁寧に深掘りされて書かれていたなと思ったのですね。この情報過多時代を生きていく上で、実際に砂の数よりも世界の砂の数を掛け合わせた数よりも今の情報は多いなんていう風に言われているような時代で、実際に私もこういうメディアの仕事をしていながら、本当に情報多いよなぁ、と感じるのですよね。
藤代さんはどういう情報過多時代を生きていけばいいと思っていますか?
藤代さんはどういう情報過多時代を生きていけばいいと思っていますか?
藤代氏:
なるほど。難しい質問ですね。
その問題意識は以前からすごい持っていました。この業界で有名な、私もすごく尊敬している、さとなおさんという人(注2)が「情報“砂の一粒“時代」と表現しています。伝えたい情報は、世界中の砂浜の一粒に過ぎなくて、砂の中に紛れちゃうと、本で書かれていましたよね。
あの時、そうだなと思ったのですけれども、でもやっぱり、半分ぐらいというか、もっとかな。発信すると、反応が見られるじゃないですか。ページビューが分かったり、いいねがついたり、ブックマークがついたり、そうすると、まあ、なにか伝わっているのだろうなと思っていたところがあって。けれども、大学生と話が噛み合わないわけです。
さっき、自分が年をとったという話をしたのですけれども、IT業界の年齢が上がっていると思うのですよ。
(注2)コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之氏。書籍は『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 』(講談社現代新書)出版は2015年。
その問題意識は以前からすごい持っていました。この業界で有名な、私もすごく尊敬している、さとなおさんという人(注2)が「情報“砂の一粒“時代」と表現しています。伝えたい情報は、世界中の砂浜の一粒に過ぎなくて、砂の中に紛れちゃうと、本で書かれていましたよね。
あの時、そうだなと思ったのですけれども、でもやっぱり、半分ぐらいというか、もっとかな。発信すると、反応が見られるじゃないですか。ページビューが分かったり、いいねがついたり、ブックマークがついたり、そうすると、まあ、なにか伝わっているのだろうなと思っていたところがあって。けれども、大学生と話が噛み合わないわけです。
さっき、自分が年をとったという話をしたのですけれども、IT業界の年齢が上がっていると思うのですよ。
(注2)コミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之氏。書籍は『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 』(講談社現代新書)出版は2015年。
四谷氏:
確かに。上がっていますよね。
藤代氏:
IT業界の人たちは新聞やテレビを、おじさんのメディアだとか言ってきたわけですよね。
だけれども、気づいたら自分もおじさんになっていて、若い人たちの動向がすくい取れていないのでは?と。
今までのお客さんに情報を出しているのだったらそれでいい。だけれども、若い人たちに出そうとすると、違うやり方が必要ではないかと。
企業にとっても重要な話で、上の方でもっと年齢が高い人が決めてしまうと情報発信がすごいズレてくる。
『アフターソーシャルメディア』にはズレが、たくさん出てくるのですけれども、そのズレを認識しないと伝えることが難しい。ただ、ズレは、悪いわけじゃないのです。世代だけじゃなくて、メディア環境とか友達も影響します。
興味関心とか、普段から接しているニュースとか、周りの環境。PCが家にあるかとか、スマートスピーカーがあるか、だいぶ違う。そういう違いを踏まえて情報発信を考えていかないと、伝えるのが難しい時代になってきているんじゃないでしょうか。
だけれども、気づいたら自分もおじさんになっていて、若い人たちの動向がすくい取れていないのでは?と。
今までのお客さんに情報を出しているのだったらそれでいい。だけれども、若い人たちに出そうとすると、違うやり方が必要ではないかと。
企業にとっても重要な話で、上の方でもっと年齢が高い人が決めてしまうと情報発信がすごいズレてくる。
『アフターソーシャルメディア』にはズレが、たくさん出てくるのですけれども、そのズレを認識しないと伝えることが難しい。ただ、ズレは、悪いわけじゃないのです。世代だけじゃなくて、メディア環境とか友達も影響します。
興味関心とか、普段から接しているニュースとか、周りの環境。PCが家にあるかとか、スマートスピーカーがあるか、だいぶ違う。そういう違いを踏まえて情報発信を考えていかないと、伝えるのが難しい時代になってきているんじゃないでしょうか。
四谷氏:
そうですね。そもそも、会社のなかであっても、夫婦であっても同じ話題で盛り上がるということが意外と難しかったりするのですよね。それがなかなか難しいなと。
藤代氏:
難しいですか?
四谷氏:
難しいなって思う時もあります。なにそれって聞くことが多いです。
藤代氏:
今回、執筆された方が夫婦で Twitter を見せ合ったらしいです。Twitterは、フォローしているアカウントの違いで、人によって流れてくる情報が違うじゃないですか。
そういう仕組は分かっていても、意外と同じものを見ているんじゃないかって、ぼんやりと思っていたけど、ご家庭の中で全く違うものを見ていることがわかって、それがまず一番びっくりしたと。
まず、その人が見ている世界を知ることがすごく大事だと思います。
これ、いいことだと思っていて、相対化しているんですよね。いろいろなメディアがある、いろいろな考えがある。ポジティブに言えば、価値観が多様になった。ネガティブな面としては、違う意見がぶつかり合うことがある。
だからこそ、夫婦とか兄弟とか友達であっても、違うというのを認めるところ、考えることが、大事だと思っています。
そういう仕組は分かっていても、意外と同じものを見ているんじゃないかって、ぼんやりと思っていたけど、ご家庭の中で全く違うものを見ていることがわかって、それがまず一番びっくりしたと。
まず、その人が見ている世界を知ることがすごく大事だと思います。
これ、いいことだと思っていて、相対化しているんですよね。いろいろなメディアがある、いろいろな考えがある。ポジティブに言えば、価値観が多様になった。ネガティブな面としては、違う意見がぶつかり合うことがある。
だからこそ、夫婦とか兄弟とか友達であっても、違うというのを認めるところ、考えることが、大事だと思っています。
四谷氏:
コロナになり、夫婦ともどもリモートワークで昼食を一緒に食べるようになりました。主人はテレビが見たい派、私は別にどちらでも良い派。ただ、無意識でついているだけのお昼の情報番組が、どうもこう、自分の中でしっくりこない、「なぜ主人はテレビを付けたがるのだろう?」と感じていました。
藤代氏:
『アフターソーシャルメディア』には、アクティビティに合わせてメディア接触が起こるという大学生の話が出てきます。ごはんを食べている時に、たまたまつけたらnews zero でしたみたいな。
今までだと、プライムとかゴールデンというメディアが決めた時間があって、ニュースやドラマがあって、それに合わせてご飯を食べるというのがありました。大学生は、news zero をつけながらごはんを食べる、じゃなくて、ご飯を食べながらnews zeroを見るなんですよね。そのせめぎ合いなんじゃないですか?
今までだと、プライムとかゴールデンというメディアが決めた時間があって、ニュースやドラマがあって、それに合わせてご飯を食べるというのがありました。大学生は、news zero をつけながらごはんを食べる、じゃなくて、ご飯を食べながらnews zeroを見るなんですよね。そのせめぎ合いなんじゃないですか?
四谷氏:
そうだと思います。
藤代氏:
テレビを見ながらご飯を食べたい習慣の人に対して、ご飯を食べながら何かをする人だと、その何かがテレビじゃなくてもいいんですよね。
時報がポーンって鳴って(注)、12時のニュースが始まって、ごはんできたわよだったのが、
テレワークとかやっていると切りのいいところで終わりたいじゃないですか。
仕事を一区切りつけてごはん食べる、その時にたまたまテレビがついている、ラジオが流れているみたいな、情報接触のスタイルになっています。
これまではメディアの方が主体で、人がそれによって動いていたけれども、
人が主体になってメディアが従属するとなると、アーカイブ性をもっているもの、それから、流れても気にならないもの、例えばラジオとか、の方がいい。
テレビはやっぱりこう、かなり見せようとしていますよね、テレビ画面を。
でも、アクティビティが中心になると、メディアの時間が失われる。仕事も終わって、お風呂にも入って、ゆっくりソファーでこれを見ようってなったら、Netflix とかTVerで、好きなコンテンツを見る。テレビ画面じゃなくてタブレットでもいい。
どこで、どう接触してもらうのかを、今まで以上に情報発信側は考えないといけない。
(注3)地上デジタル放送開始前日(2011年7月23日まで)までNHKでは時報をおこなっていたが、デジタル放送開始により、放送までに若干のズレが生じるためおこなわなくなった。
時報がポーンって鳴って(注)、12時のニュースが始まって、ごはんできたわよだったのが、
テレワークとかやっていると切りのいいところで終わりたいじゃないですか。
仕事を一区切りつけてごはん食べる、その時にたまたまテレビがついている、ラジオが流れているみたいな、情報接触のスタイルになっています。
これまではメディアの方が主体で、人がそれによって動いていたけれども、
人が主体になってメディアが従属するとなると、アーカイブ性をもっているもの、それから、流れても気にならないもの、例えばラジオとか、の方がいい。
テレビはやっぱりこう、かなり見せようとしていますよね、テレビ画面を。
でも、アクティビティが中心になると、メディアの時間が失われる。仕事も終わって、お風呂にも入って、ゆっくりソファーでこれを見ようってなったら、Netflix とかTVerで、好きなコンテンツを見る。テレビ画面じゃなくてタブレットでもいい。
どこで、どう接触してもらうのかを、今まで以上に情報発信側は考えないといけない。
(注3)地上デジタル放送開始前日(2011年7月23日まで)までNHKでは時報をおこなっていたが、デジタル放送開始により、放送までに若干のズレが生じるためおこなわなくなった。
四谷氏:
そうですね。本当にそうだと思います。
ちなみにこの書籍の中にもありましたが、ハズレを引きたくないという気持ちがあるというのは、私も読んでいて、あーわかる、わかるという風に感じたのですね。時間が自分の中で、1時間あったとすると、その中をよりよく時間を過ごしたい、そのために、ハズレ、面白くないものを見たくないとか、もっとより良いものを見たいという考えに、すごく私も共感して、すごく納得してしまったのですけれども。
ちなみにこの書籍の中にもありましたが、ハズレを引きたくないという気持ちがあるというのは、私も読んでいて、あーわかる、わかるという風に感じたのですね。時間が自分の中で、1時間あったとすると、その中をよりよく時間を過ごしたい、そのために、ハズレ、面白くないものを見たくないとか、もっとより良いものを見たいという考えに、すごく私も共感して、すごく納得してしまったのですけれども。
藤代氏:
自分たちが面白いと思っているアタリをキープしながら流れてくるコンテンツを見て、面白いものがあったら、だんだん昇格してくる感じですよね
これがすごく新しいというか、考え方を変えたというか、学生から勉強させてもらったところです。
フェイクや誤情報を減らせないかと色々と研究をしてきたのですが、プラットフォーマーの問題とか、ビジネスの問題があって、全然減らないわけです。フェイクとまでは言えないけど、低品質なコンテンツも溢れかえっている。
それでどうなったかというと、若い世代は要するにきちんと見てないのですよね。
見流しているというか。ハズレ前提って、フェイクが流れてきても、受け流すということなので、玉石混交の世界に、若い人たちは耐性を持っていると考えることも出来ます。
僕自身はもっといいものをきちんと流して、セレクトショップみたいなハズレが少ない方がいいと思っていたのですよ。でもハズレ前提になるとそうなるのかという。
だから、きちんと情報を見極めましょうとか、言っていても、しょうがないんだなって。
ただ、僕も記事を書いたりしているじゃないですか。
だいたいハズレという現実は、ちょっと悲しい感じもありますよね。
これがすごく新しいというか、考え方を変えたというか、学生から勉強させてもらったところです。
フェイクや誤情報を減らせないかと色々と研究をしてきたのですが、プラットフォーマーの問題とか、ビジネスの問題があって、全然減らないわけです。フェイクとまでは言えないけど、低品質なコンテンツも溢れかえっている。
それでどうなったかというと、若い世代は要するにきちんと見てないのですよね。
見流しているというか。ハズレ前提って、フェイクが流れてきても、受け流すということなので、玉石混交の世界に、若い人たちは耐性を持っていると考えることも出来ます。
僕自身はもっといいものをきちんと流して、セレクトショップみたいなハズレが少ない方がいいと思っていたのですよ。でもハズレ前提になるとそうなるのかという。
だから、きちんと情報を見極めましょうとか、言っていても、しょうがないんだなって。
ただ、僕も記事を書いたりしているじゃないですか。
だいたいハズレという現実は、ちょっと悲しい感じもありますよね。
四谷氏:
そうですね。皆さんがあまりそれに期待をせずに、メディア接触をしているというのは、
ちょっとメディアとしては残念ですよね。
ちょっとメディアとしては残念ですよね。
藤代氏:
だけど、その神回というか、アタリの確率が高そうなものに関しては、皆それぞれこだわりがあるのですよね、このYouTuberはいつも面白いとか、ここに行ったら、この友達ならだいたい良いのが当たるみたいな。
そういうものの中に、どう選んでもらうかが、これからのメディアにとってはすごく大事なのじゃないかなと、『アフターソーシャルメディア』をまとめながら思いました。
そういうものの中に、どう選んでもらうかが、これからのメディアにとってはすごく大事なのじゃないかなと、『アフターソーシャルメディア』をまとめながら思いました。
四谷氏:
企業の担当者さんは、実際にプロモーションをしており、大学生とかに向けて自分たちのことを知ってもらうための活動をしていかなきゃいけない。アタリの確率を高くしたい、つまらない、いわゆるハズレを引きたくない、という思いが生活者にはある、というところが一つ、ヒントになっているのかなと思いました。ありがとうございます。
藤代さんにどうしても一つ、聞きたいことがあったのですよ。
これだけたくさんの情報を収集して書籍にまとめたりしている。藤代さんはどういう風に情報収集をされているのかなって。
藤代さんにどうしても一つ、聞きたいことがあったのですよ。
これだけたくさんの情報を収集して書籍にまとめたりしている。藤代さんはどういう風に情報収集をされているのかなって。
藤代氏:
仕事なので、ものすごい見ていますね。
四谷氏:
どのように?
藤代氏:
オンライン授業もあるからパソコンの画面を三つぐらいにして、
メインのディスプレイでは作業を、こっちは Twitter を流して、radiko も流れています。
メインのディスプレイでは作業を、こっちは Twitter を流して、radiko も流れています。
四谷氏:
家の?
藤代氏:
そうです。あと、だいたいテレビの情報番組もついてます。音は消していますが。
四谷氏:
えっと、待ってください。メディアがその時点で四つ?三つ?
すごいですね。
すごいですね。
藤代氏:
今日のワイドショーはぐっとコロナの話題が戻ってきたなとか、そういう流れを見るようにしています。
『グランズウェル』(注)という有名な本があるのですが、ソーシャルメディアにより社会が変化していく様子を、大きなうねり(グランズウェル)、と表現しています。
情報過多なので、最初から細かいところは見ないです。というか、見ることが不可能なので、大きな変化=波を捉えることが大事です。そういう、波を掴んでから細かいところを見るようにしていますね。
『グランズウェル』(注)という有名な本があるのですが、ソーシャルメディアにより社会が変化していく様子を、大きなうねり(グランズウェル)、と表現しています。
情報過多なので、最初から細かいところは見ないです。というか、見ることが不可能なので、大きな変化=波を捉えることが大事です。そういう、波を掴んでから細かいところを見るようにしていますね。
四谷氏:
波をとらえる、なるほど。ありがとうございます。
今回、受賞にあたって、一言いただいてもよろしいでしょうか?
今回、受賞にあたって、一言いただいてもよろしいでしょうか?
藤代氏:
やっぱり、ちょっと悔しいじゃないですか、発信者としてハズレ前提の社会って。それは変えたいなというのは、やっぱりあります。
あと、フェイクニュースとか誤情報にはまってしまったり、陰謀論に群がっている人たちがごく一部いたりするわけですよ。その人たちが、インターネットをすごく問題がある場所にしている。
インターネットってもっと自由で皆が発言できて、いろいろな価値観が話し合えるいい場所だったと思うのですよ。インターネットでワクワクしたその感じって、2020年にものすごくなくなっていると思うのですね。
個人を自由に解き放って、エンパワーメントして、皆がいろいろな価値観を語り合えるような場所に、どうできるのかとは、ずっと考えてきたし、
そういう活動をしている人が、この賞でもたくさん選ばれているわけじゃないですか。
まあ、これからなんじゃないですかね。今、踊場?
あと、フェイクニュースとか誤情報にはまってしまったり、陰謀論に群がっている人たちがごく一部いたりするわけですよ。その人たちが、インターネットをすごく問題がある場所にしている。
インターネットってもっと自由で皆が発言できて、いろいろな価値観が話し合えるいい場所だったと思うのですよ。インターネットでワクワクしたその感じって、2020年にものすごくなくなっていると思うのですね。
個人を自由に解き放って、エンパワーメントして、皆がいろいろな価値観を語り合えるような場所に、どうできるのかとは、ずっと考えてきたし、
そういう活動をしている人が、この賞でもたくさん選ばれているわけじゃないですか。
まあ、これからなんじゃないですかね。今、踊場?
四谷氏:
そうですね。
藤代氏:
それで、その踊り場の先って、どう作れるのかというのが、
まさに僕もそうですけれども、この賞に関わる人とか、皆さんにかかっているのかな?
まさに僕もそうですけれども、この賞に関わる人とか、皆さんにかかっているのかな?
四谷氏:
耳が痛い。
藤代氏:
四谷さんも含めて、皆でいいインターネットを作りたい、そういう想いを込めて、この賞をありがたく受け取って、皆でそういう気持ちをシェアできたらいいなって。
インターネットのワクワクをもっと皆が感じられるような社会にしていければいいなと思っています。
インターネットのワクワクをもっと皆が感じられるような社会にしていければいいなと思っています。
四谷氏:
わかりました。
本日は藤代様、ありがとうございました。
本日は藤代様、ありがとうございました。