2015年12月3日、東京白金台の八芳園にて「第3回Webグランプリ」の贈賞式が行なわれました。年末のご多忙の中、多くの来場者様にお集まりいただきました。ここでは「Web人部門」贈賞の様子をお伝えします。
贈賞に先立ちまして、Web広告研究会 Webグランプリプロジェクト Web人選考委員会を代表して、株式会社コンセント長谷川敦士より、Web人賞の選考についてご報告させていただきました。
それでは、Web人部門の贈賞です。
Web人部門のプレゼンターは、Web広告研究会 代表幹事 田中滋子よりつとめさせていただきました。
Web人賞は、株式会社インフォアクシア 植木真様です。
Web人 of the yearは、株式会社講談社 長崎亘宏様です。
そして、Web人大賞は、キリン株式会社 橋本誠一様です。
ここで、受賞された皆様から一言喜びのお言葉を頂戴いたします。
植木真様
インフォアクシアの植木と申します。この度は、本当に栄えある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
過去に、このWeb人賞を受賞された皆様と比べまして、まだ私自身は、この賞に値する程の実績は残せていないと思っています。そういう意味では、こうして表彰いただいて壇上にいる訳ですけれども、大変恐縮しています。
ウェブアクセシビリティについて、普段、私は大手企業のWebサイト確保あるいは、JIS規格、W3Cのガイドラインを対応といった所でお手伝いをさせていただいております。近年、ウェブアクセシビリティを確保するという事が、法律で義務化されるという動きがいろんな国で進んでおります。それを受けて、実際に最近多いのが、グローバル企業の担当者の方から、そういった背景から対応を始めたいというご相談であったり、実際に、そういった事がきっかけでお手伝いをさせていただいたりしています。今日、浅川賞の贈賞式の中で、浅川さんが、ウェブアクセシビリティを、見つめ直す時が来ているかもしれないという事をおっしゃりました。まさに、今、そんな状況がありまして、もともと、ウェブアクセシビリティというのは、障害がある人が、Webを使えるようにする事、という様な捉えられ方をしてきました。ただ、近年、皆様ご存知の通り、「マルチデバイス」「マルチスクリーンサイズ」、利用環境は、多様化して来ております。当然、利用者が、Webを使う時のコンテキスト、これもどんどん多様化して来ております。そんな中で、より多くのコンテキストで、より多くのユーザーが、ストレス無くWebを使えるようにする、その為の1つの品質基準になるべき物が、ウェブアクセシビリティなんじゃないか、そんな捉え方、新しい捉え方が、国内外でされ始めている所でもあります。
私の目標は、ウェブアクセシビリティという言葉が無くなる位、Webにとって、アクセシビリティを当たり前にする事です。今回この賞をいただいた事を励みにさせていただいて、その目標に向かってこれからも邁進して行きたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。
長崎亘宏様
今、ご紹介に与かりました、講談社の長崎でございます。先ずは何よりもこの場にお越しの皆様と、そして、私自身の活動の場になりました、JIAAの事務局の皆様、そして、数多くのご協力いただいた推進メンバーの皆様に、代表して感謝申し上げますし、誇りに思います。
この授賞式も終盤に差し掛かるにつれて、本当に、私がもらっていいのかという思いを、強くしたんですけれども、単純にメダルをいただいたら子供のようにうれしくてですね、本当にいただいて良かったなという風に感じています。
私が過分なる評価をいただき、栄えある賞をいただいた経緯は、先程、長谷川様からご説明いただいたので、多言は要さないかと思うのですけれども、やはり、まだ尚スタートラインでございます。何を成し得たわけでもなくて、いろんな人たちが集えるネイティブ広告というのは、例えば、Web人と言いながら、私は出版社の人間です。ネイティブ広告のガイドライン、推奨規定の基でやっていくプレイヤーというのは、非常に多岐に渡っていて、テレビ局さんもいらっしゃれば新聞社さんもいらっしゃれば、アドネットワークの会社、ポータルの会社、様々な会社が同時に乗り入れる、非常に大きな船です。そして、市場も急速に拡大しておりますのでそういった中で、まず、今までの活動を、一言で言うならば、何よりも「合意形成」という言葉に尽きるのかなと思います。勉強会も5回位行いまして、最後の5回目の非常に大規模なセミナーについては、アドバタイザーズ協会様のご協力を得て、その会員社の皆様の目の前でガイドラインを発表しました。今年の3月18日です。それ以降、様々な所で議論を呼びました。本当に炎上もしましたし、いろんな意見、異論も出てまいりました。繰り返すんですけれども、合意形成が必要なんです。そして、これを生み出した時に、アドバタイザーズ協会の皆様に見ていただいた事、これが、非常に大事ですし、今後、新たにネイティブ広告部会という事で、正式に委員会に昇格致しまして、私が座長を拝命しておりますけれども、引き続き、皆様と寄り添う形で、健全な発展という所で骨を折ってまいりたいと思っております。やはり、ネイティブ広告というのが、非常に効果のある広告だと思うんですが、その反面、運用を間違えると残念な広告になってしまう。ただ、そうならないというのは、非常にシンプルなんですね。シンプルで、簡単なルールが守れるかどうか、というのが問題なんです。なので、やはり、広告主の皆様にとってもメディアにとっても、そして生活者にとって、ベネフィットのある広告にして行きたいと個人的には、思っています。
引き続き、頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
橋本誠一様
キリンの橋本でございます。照れくさいですね、これは。先程、受賞理由等ございましたけれども、実は、私は専門家ではございません。また、目覚しい成果を上げたという風にも思っておりません。私にとりましても、そして、私の周囲の人間にとりましても、今回の受賞というのは本当にサプライズだった、という事であります。
ただ、私のような、キリンのようなある意味レガシーのマーケティングを代表するこの企業が、真剣に一生懸命にデジタルマーケティングに取り組んでいるという事を、応援をしていただいたのかな、という風に思っております。
また、個人の受賞ではございますけれども、現場で苦労している社内外のスタッフにとっては本当に励みになります。その意味でも、今回の受賞を大変うれしく思っております。改めまして、本当にありがとうございました。
ちょうど、昨年、デジタルマーケティング部というのを、私の直下に立ち上げました。それまでも、キリンのマーケティングの現場では、デジタルメディアには、それなりに対応して来ているという実感はあったようでございますがけれども、私の中では、むしろデジタルマーケティングというのをテコにして、キリングループのマーケティング自体を変えていきたいという思いがございました。一言でいえば、「キリン主語からお客様主語へ」という事になる訳ですけれども、実際に現場のマーケッターにとっては、日々激しいシェア競争があるわけでございまして、そういう中で、どうしても声高になっていく、結果、お客様はますます離れていくという様な事が起きていたという風に思います。このデジタルマーケティングという事を実践していく中で、インサイトが鍛えられ、そしてお客様主語のマーケティングの実現につながる、そういう事を目指した訳であります。ただ、最初の頃はやはり、事業会社とマーケティング部との間に、少なからずコンフリクトもありました。その辺の話をし出すとキリが無いのですけれども、今はお蔭様で、自然に協働が進むようになりつつあります。特に若いマーケッターにとっては、デジタルマーケティングは当たり前の事ですけれども、全然特別な事ではなくて、そもそもメディアをシームレスに捉えるという事は、極自然に出来ている、という風に思います。そういう中で、個々には良い施策が出来ているように思いますし、是非来年は、施策のところで、キリングループの何かが表彰されるとうれしいな、という風に思って、先程来、皆様の素晴らしい発表を聞いていた、という事でございます。
とはいえ、最後に、ゴールは、「我々のブランド価値の最大化」という事になるわけで、ございます。詰まるところ究極的には、やはり我々のような、ビールとか飲料とか、そういうマス商品の中で、CRMというのが本当に成立するのかという、そういうチャレンジだという風に思っています。
その意味では、全くもって道半ばではございますけれども、ここにお集まりの皆様を始め、いろいろな方のお知恵をお借りしながらチャレンジを続けて参りたいと言う風に思っております。
改めまして、本日は、大変ありがとうございました。
受賞者の皆様、この度は誠におめでとうございました。
最後に、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 代表幹事 田中滋子より、閉会のご挨拶をさせていただきました。
皆様、本日はお忙しい所会場にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。また、今日受賞された皆様、本当におめでとうございます。
改めまして、11月からWeb広告研究会 代表幹事に就任致しました、NECの田中ですけれども、私の方から、閉会のご挨拶をさせていただきます。
今回のWebグランプリはWeb研で開催しましてから、3回目となります。WEB人部門は、2003年から開催され、今回で、13回目となっております。企業グランプリ部門に関しましては2006年から開催を致しておりまして、今回で、9回という事になります。これだけ長い間、開催を続けてこられましたのも、Webに携わる方々の努力と成果の賜物と思っております。今日惜しくも賞を逃した方々に関しましても、参加して頂き、感謝と敬意を表したいと思います。
Web人部門に関しましては、先程、橋本様のご挨拶にもありましたが、組織としての力というのが、Web人部門にも、非常に影響しているんじゃないかなと思っております。最近では、個人で成果を出すというよりは、企業の組織として、また、あるテーマに集まった活動体として、皆様で、非常に努力してチャレンジしているという要素が大きくなって来ているのではないか、と思っております。そういった意味で、今回、個人の方を表彰させていただきましたが、それに携わる方々、皆様を代表して貰っていただいたという様な捉え方をしても良いんじゃないのかなと思っております。
企業グランプリ部門については、今回初参加いただいた企業の方から、こんなにすごくコメントをいただけると思ってませんでした、とか、非常に参考になる意見をいただいてすぐに改善したいと思います、というような、非常にありがたい意見をいただいております。賞をとれなかったとしても、こういったコメントをいただけるという事で、参加する事に意義がある、という風に感じていただけたのではないか、と思います。来年以降も積極的な参加をお願いしたいと思っております。
さて、Web研の方に話を戻しますと、Web研は1月~12月が会計年度となっておりまして、12月が最後の月となります。今年最後のイベントとして、このWebグランプリが開催されました。期の途中で、代表幹事が代わるという事がありましたが、恙無く1年間の行事を終えられたと思っております。皆様のご協力に感謝したいと思います。
来年以降さらに期待感が上がっていく大きなイベントとして、東京2020、東京オリンピック、パラリンピック等もございまして、益々、インバウンド対応、または、アクセシビリティ対応、今日のテーマとなっております、アクセシビリティに対してですね、Webの役割が、非常に重要になってくるのではないかと思っております。
引き続き、皆様と皆様の企業のWebの活動の助けとなるよう、Web研としましては、委員会活動、セミナー活動等、一生懸命やっていきたいと思っておりますので、これからも積極的な皆様の参加をお願い致したいと思います。今日は長い間本当にありがとうございました。
贈賞パーティーもたくさんの来場者様にご参加いただき、ご歓談いただきました。
只今ご紹介に与かりました、Webグランプリ Web人賞選考委員の長谷川でございます。私の方から、第3回Webグランプリ、Web人部門の選考内容について、発表させていただきます。
皆様、ご存知の通り、Webグランプリ Web人部門と言いますのは、「人」にフォーカスをしている賞です。すぐれたWebサイト、プロモーション及びデジタルマーケティングの原動力となった人物にフォーカスをあてまして、その方の功績を表彰しております。前身となります、Webクリエーションアウォードから数えますと、今年で第13回目を迎える賞となります。
本年度Web人大賞を受賞されました、キリン株式会社 取締役執行役員 CSV本部長 橋本 誠一氏は、企業価値の創出にあたりまして、従来のマーケティング手法に加えて、デジタルでのブランディング、コミュニケーションが必須となった事に対し、多くの企業が旧来の組織のままでは難しいと感じている中で、取締役CMOとして「ブランドを基軸とした経営」というものを推進致し、率先して大幅な組織改革を行いながら、お客様との長期的な関係構築を志向されていた、この部分を僭越ながら選考委員会全会一致で評価させていただき、今回の受賞となりました。
Web人 of the yearを受賞されました、株式会社 講談社 ライフメディアビジネス局 局次長兼 第一事業局 局次長 長崎 亘宏氏は、2014年8月に発足致しました、一般社団法人 インターネット広告推進協議会、現一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)のネイティブアド研究会の座長として、2015年に公表された「ネイティブ広告に関するガイドライン」の策定に尽力をされました。このJIAAの「ネイティブ広告に関するガイドライン」の発表をきっかけに、従来グレーゾーンとされて処理が曖昧にされがちだった、「記事広告のノンクレジット問題」や、「ステルスマーケティングにおける倫理的な境界線」が明確となりまして、ルール違反をした企業に対する問題提起や議論が、非常にスムーズに進むようになったと、この功績を讃えまして、今回の受賞となりました。
今回、Web人賞を受賞されました株式会社 インフォアクシア 代表取締役 植木 真氏は、高齢者、障害者を含む全ての人が、ウェブを利用できるようにするためのウェブアクセシビリティの活動に関して、長く尽力されております。コンサルタントとして活躍されながら、今年度は東京のみならず、仙台、大阪、高松、岡山などで、ウェブアクセシビリティに関してのセミナーも開催されています。また、ウェブアクセシビリティ委員会の委員長と致しまして、JIS規格、JIS X 8341-3の普及に向けた取り組みや、関連情報を発信するといった会を継続的に率いております。すでに幅広く社会にとって、重要なインフラとなっておりますウェブを、多くの人にとって、利用しやすいものとする、これまでの継続的な取り組みを評価いたしまして、2015年度中に予定されているJIS X 8341-3の改正に合わせまして、今回の受賞となりました。
以上、審査経過の報告とさせていただきます。受賞者の皆様、おめでとうございました。